少年期の氷結
田島オスカー


まとわりつく風に 色をのせる夢を見た


あの日 あまりに駆け回って
おかげで ぼくらはたくさん転んで
傷だらけになって 笑っていたけど
傷の消えた今 なぜか
あの日の笑顔に泣かされそうになる よ

遠い空を確かにぼくたちは
いつまでも 眺めていたかった
夜におおわれるのが悲しくて
泣きそうなまま 手をつないだり した
なのに今は
眩しすぎて 太陽を見ていられない

あの子がいないのをいいことに
ぼくはいつもの日曜日を過ごす
同じ夢から抜け出して
またその夢へ 帰る場所は痛みを伴うけれど
でもあの日のようにはもういられない
どうして どうして と 指先が見つめる
何かを 別の何か に おきかえるのは難しいのに


まとわりつく風に のせる色はいつも
あの日の青と 傷ににじんだ赤
もう笑えないけれど
痛いくらい 大切だと思えるよ

 


自由詩 少年期の氷結 Copyright 田島オスカー 2004-08-16 17:53:20
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