オニヤンマ(百蟲譜26)
佐々宝砂
蜜柑色した西空を探るように
行ったりきたりするのは
連れ添いを求めているから。
でなければ飢えているから。
しかしその飛翔の優雅なこと!
ヘリコプターのホバリングも
グライダーの滑空も
比較にならない。
人間がつくったものは
どうしてあんなにも
みじめったらしいのか。
空の虎たるオニヤンマは
王者の風格で飛ぶ。
貪婪に。しかし悠々と。
(未完詩集『百蟲譜』より)
自由詩
オニヤンマ(百蟲譜26)
Copyright
佐々宝砂
2004-08-03 03:30:23
この文書は以下の文書グループに登録されています。
百蟲譜