さきっぽ
水町綜助

あんた

さけ

のみなはれ

のみなはれ

ってうたってんのか

千葉の空が高い

ツーストのゼッペケのハチの羽音みたいな排気音も高く


犬吠埼へ行った昔

犬は鳴いてなかった

灯台があって

ひとびとがいて

なぜかみんな海に向かって立ち尽くしていた

それしかしていないひとびとだった

そうやって
海を見ているから
潮風はちいさなしおみずを何粒も何粒も波頭からさらって

ひとびとにまぶしていくから

輪郭がぶよぶよとぼやけてしまう

てな訳がない

ただそうじゃないやつと

そう な やつがいるだけで

俺とかは
そう なんだ

しもきたの町の中でも

海でも

どこだって

俺は硬さにあこがれていて

あこがれていて

筋トレはしない

したことがない

それでいい

しみださせて

ちぎって投げて

のどが渇いたら掬ってのんで

四散できるならさせてみたい

飛沫がとんで

染みを作るように


自由詩 さきっぽ Copyright 水町綜助 2008-10-24 11:39:38
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