断面はあたかも泣いているかのように
KETIPA

切断された柔らかい金属の切り口が
うずうずとじくじくと波立っている
それはあかい 赤い 泣いているように赤い
分解された電球の不在に泣いているように
うずうずと そうただの切断面なのに
それが破滅であるかのように
あたかも破滅であるかのように そんなことはないのに
金属が切断される そのたびに破滅に泣く
破砕された重金属にも同情され同調され
あたかも破滅であるように
うずうずと
あかくひかったものがみえた
電球のようにひかったものがみえた

裂けた断面からふりそそぐ金属の微粒子が
それはあたかも泣いているように
じくじくと そうただの切断面なのに
やわらかだった金属に無為の工具があてがわれる
それは音もなく ややためらいがちに
ひとすじの断面をあかく あかく 裂く
破砕された重金属の不在に あかく
微粒子があたかも泣いているように
風にまぎれて泣いているように
はらはらと かつうずうずと
断面に同情し同調され
そんなことはないのに それは破滅では最初からないのに
うずうずとじくじくと あかく 泣いた
電球にてらされていた微粒子が
さっきまでは金属だった微粒子が
切断された そう破砕された断面から
はらはらと
分解された電球の不在に泣いているように

それは破滅では最初からないのに


自由詩 断面はあたかも泣いているかのように Copyright KETIPA 2008-09-16 23:23:00
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