こんなにクラい……
芥生

 こんなに暗い夜だから、
 どこに行けば良いのかワカラナイ
 祭りで騒いだ帰り道
 行くべき道が分からない。
 遠くにキャンプファイヤーが燃え盛る。
 カオのない友達たちは
「きゃあきゃぁ」
「ナルナル」
「ヘムルヘムル」
 そう言い合って、そぞろにともし火に寄せられていく。
 その先に、帰る家などあるはずは無く。
 
 こんなにクラい夜だから、
「こちらの道が正しいよ」
 そう教えられても迷ってしまう
「何でこの道が正しいの?」
 暗いクライ夜の中では
 尋ねる声は泥みたいな黒さに紛れてしまう
 ただ招く手だけがエコーする。
「コッチ、コッチニ来ないとイケナイよ」
 
 こんなに暗い夜だから、
 今いる道すらおぼつか無い。
 みんなみんな
「自分は独りぼっち」
 と立ちすくんで、
 声が出せずに赤いアカイ太陽をまつ。
 
 こんなに暗い夜だから、
 誰かをもとめて手で探る。
 きっと、同じように捜している人の手と出会えるのを信じて。

 こんなにクラい夜だから
 こんなにクラい世の中だけど
 君の手を握っていれば
 やすらかに眠れる……


自由詩 こんなにクラい…… Copyright 芥生 2008-09-13 08:56:21
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