光溝
木立 悟




雨の終わりの無数のうちの
ひとつは残り 無数は去る
雨の終わりはつづいてゆく


午後が午後へ差し出す傷
土にこぼれ
土は黙る


封じ忘れた光から
誰も通らぬ道がのび
かつて川だった荒地へむかう


こがねの蛹を見つめ
暗がりのすべてが震え
またひとつ朝を忘れる


光の木 光の髪
光を光に受けとる肢体
仮のままに引き継がれるもの


涸れ川を巡り 到く音
中洲の岩が崩れていて
帰路の片方は失われる


何かが去った透明を
突然の羽が通りすぎ
そうであったかもしれない姿を映す


痛みのはじまり
上と下の青
水たまりの道をつないでゆく

















自由詩 光溝 Copyright 木立 悟 2008-07-30 14:14:55
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