今日を雨は濡らして
たりぽん(大理 奔)

街を濡らす雨
叩いているか
あらゆるリズムで
冷たい夜半
霧雨を縫って歩く野良犬
おまえは傘
あらゆる名前を拒んだ空との境界
捨て去ってもその姿に
切り抜かれた水溜まり

この皮膚の外側に
はみ出てみたい
指先から、のど元から
触れるより深く
声、野良犬の輪郭を
叩いているか、冷たい夜半
濡らす雨が溶かして暗闇と
ひとつになる、声

私を獣のかたちにするもの
皮膚、の外に
染み出す名前拒んで
捨て去るとき
今日、街を濡らす雨
野良犬の形の水溜まりに
半端に開いた傘と
立ち尽くす夜
叩いているか、あらゆるリズムで




自由詩 今日を雨は濡らして Copyright たりぽん(大理 奔) 2008-06-22 21:51:05
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