言葉は私をさみしくさせて
ロリータ℃。






楽しい時間を名残り惜しんで
さようならと家路を辿るその途中
柔らかくなったあたしの心
朝日を見た瞬間固まったんだ
あたしの居場所は此処じゃないよって
そんな言葉が胸の中でざわめいた


あたしはとても自由だった
かつて捨て猫だった野良猫のように。
しなやかな哀しみを纏いながら
それでも自分を捨てないあたしは
ささやかな誇りを持って生きてきた

それに気づかれないよう
あたしはいつも微笑んでいた
そうしていろんな人に愛された
それと同じだけ嫌われたりもしたけれど
愛してもらえるならどうでもよかった




タクシーの中で見た朝日は
それはそれはささやかに、鮮烈に
そんなあたしの心を揺さぶった
本当は居場所なんかないんだよって
何かが胸でざわめいた



かつて小さな迷子だったあたしは
なけなしの勇気を振り絞って
こうして此処までやってきたのか
今までずっと頑張ったのに
それでもあたしは後悔してると叫ぶのか



あの勇敢だった子供の頃から
本当はずっと知っていた
用意された居場所を捨てた人間は
水のように生きてゆかなければならない

何かを捨てるということは
もう戻れないということだから

捨て猫が野良猫に変身したように
美しく気高く、孤独に生きてゆきたいなら
そうでなければならないのだ



透明な夜明けは
私を少し弱らせる
哀しくなどなくても
胸のなかでざわめく言葉はいつも私をさみしくさせる


死に場所は
居心地よかったあそこが良かった
頬にひと筋流れた涙が
きらり朝日にきらめいた









自由詩 言葉は私をさみしくさせて Copyright ロリータ℃。 2008-06-21 21:37:32
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