父へ
ロリータ℃。




あなたが嫌いだった


大きな体に
大きな声
私たちを日の届かない広い家へと閉じ込めた
そこは泣き声と罵声だけが届く家



あの日あなたが
たった一人愛した女が消えた日
あなたは私の手を握りしめ
雪の降る景色を 黙々と歩いた



私があの日
全てはただ消えてゆくのだと思った日
怖がる私を大きな手で支えながら
ゆっくりとした速度のバイクに乗せてくれた



あなたは
私と同じように育てられて
どう愛したら良いのか
きっとわからなかったのね




ねえパパ
今度あの海へゆこうよ
私ね、好きな人がいるんだよ
今一緒に暮らしてる
その人のこと紹介するよ


バイクと車が好きな人だよ
大きな体に
大きな手を持った
そんな人だよ






自由詩 父へ Copyright ロリータ℃。 2008-06-13 08:32:41
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