樹海
ロリータ℃。





溺れたければ、どうぞ?



初めて笑った日のことを覚えてるよ
白い肌より白い包帯に血が滲んでた
君の無感動な眼差しに背筋は寒くなったけれど
君はたわいもないことを喋りはじめて
人のいい笑顔で笑うから
大したもんじゃないしなあって、だから笑えたのかな



二人で見る死体の森は
それはそれは残酷に朱く夕陽色に染まってる
そんなものを感じる隙間もないくらい
君の顔は赤い液体にまみれてて
私ね嫌いな厭な笑顔で笑っている

なにを、



(笑っているのかな)




本気で殴ったら死んでしまうかもしれない大きい石で
何故殴ったのなんてそんなの知らない
血が見たかったわけでもない
死んでほしかったわけざゃない
只笑ってほしいのに
でも本当は怒らせたかった





その手でこの首締めて殺してよ、と叫んだら
死にたいの?と問いかけられた
首を振ったら訝しげな顔をするから
君に殺されなきゃ救われない、と呟いた


救われようとするなんて大概お前も勝手だね。
そう言って微笑む君に
全部私のものにしたかったんだよといびつに笑った



無感動な眼差しも
呼応しないその笑みも
過去のものなの
私の胸を荒らしてやまない記憶の残像



なんで私を愛したの?

聞いたら少し迷ってすぐに笑った




「その血に溺れてみたかった」




死体の森で二人で笑った
あの時より増えた傷跡
愛しさを絡めることを望んでた
やっぱり赤が滲んでた




この包帯も体もあげるからかわりに私を殺してよ。
微笑んだら可愛いあなたが苦く笑った



大概俺も勝手だね。そう呟いて私の腕に口づけた










自由詩 樹海 Copyright ロリータ℃。 2008-11-11 12:02:24
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