卒業式
1486 106

朝早くから草刈に呼ばれた
今日は僕の卒業式なのに

学校前の畦道は背丈ほどある植物が生い茂り
車で左折することさえままならない状態だった

僕は見るからにやる気のなさそうな
いわゆる今時?の女の子とペアを組まされた
最初はお互い無口だったけれど
道が綺麗になるにつれて会話が芽生えていった
彼女は仕事の喜びを感じたのか
笑顔で仕事に精を出していた

僕も仕事に没頭していると
遠くの校舎から森山直太朗のさくらが聞こえていた
腕時計に目をやると時刻は11時を過ぎていた
しまった、卒業式が始まってしまった!

体育館はゲストのテレビタレントにヒートアップ
卒業生在校生一丸となって盛り上がっていた

今から参加するには微妙な空気だったので
押しボタン信号の前で立ち尽くしていると
後から軽トラックにクラクションを鳴らされた
なんでも角材が邪魔で通れないということで
アルバイトで培ったスマイルで
丁寧にそれをどかしてあげると
横山剣に似たおじさんは
小さな紙袋をくれた

中を見てみると
卒業を記念して色々な友達からの手紙が入っていた
ノートの切れ端に書いたようなもの
食堂の献立などのくだらない情報
そんなものだって後で読み返してみれば
かけがえのない思い出に変わっているんだろう

近くのラーメン屋は27日限定で225円セールをやるらしい
二次会の会場はどうせそこだろうから
打ち上げから参加してみようかな


自由詩 卒業式 Copyright 1486 106 2008-06-17 18:56:16
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