螢棲む暗闇に
たりぽん(大理 奔)

さあいよいよ
螢の季節が近づいて
探し始めるのです
はかなく綺麗なものを
風景に重ねたいと
螢を狩る人が
暗闇にうごめくのです

もうそっとしておきませんか
いのちの営みの輝きは
彼らだけのもの
そして、誰もが持ちうるもの

賛歌、さんかはいらないのです
ほしいのはささやかな温もり
いえ、
星に紛れてしまうほどの
ほのかな輝き

   わたしが紛れるべきは
   渓流でしょう
   冷たく、体液のように
   さわさわと流れているでは
   ありませんか

さあいよいよ
螢の季節が近づいて
探し始めるのです
辛く悲しいことの弔いに
儚さを重ねたいと
螢を狩る人が
まっくらやみにうごめくのです




自由詩 螢棲む暗闇に Copyright たりぽん(大理 奔) 2008-05-28 22:43:35
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