軀森
木立 悟





実と土のあいだ
鳥は落ち 飛び去り
叫びと無言 緑と足跡
人であることのさまよいに満ち


はじめて みなもと
そのまま たましい
そこにはぽつりと
ひとつだけがある
はじまりなのに
おわりのように


器があり 唱がある
細く永いはざまのこがね
歩むものの背の森に
少しずつ
水を絶やさぬように


夜の終わりの鈍
洞のむこうの洞の声
陽の視界の左端を
ひとつひとつ運び去る鳥


扉をひらき
糸を浴び
いつか髪には
ささやきが棲み
糸を伝って降りながら
わずかな風にそよいでいる


すぎる鳥から降るかけら
まなざしのけだもの
生まれたばかりの明るさたち
雨を数える指を標に
迷うことなく森を迷う
















自由詩 軀森 Copyright 木立 悟 2008-05-26 11:22:21
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