夜としずく
木立 悟





窓には
ひとつの三日月
ひとりの子と話す
風の音
油の虹


武器はなく
ひとつの羽を得て
ひかりかがやくもの
ひかり失うそのとき
居ること 居ないことを
震わせる灯


いちばん近い曇から
途切れ途切れの声
虫の羽の水が来て
風にちぎれ
まぶたに消える



とねりこ
ありか
いそしぎ
たたずみ
ひともとのひかり あふれ
ぽつりと ただひとつの
こたえのようにひびき



帰り遠のく
喉の渇きの音たちの路
さわさわと目を閉じ
朝へ昇りきる前の
廻りつづける水の歯車
縦の波紋の巨きさを聴く
















自由詩 夜としずく Copyright 木立 悟 2008-05-23 10:03:07
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