夜が燻る
杠いうれ

夜が燻る
夜が放火する



わるいゆめ
ほんのすこし掠めた
ささくれが毛布にひっかかるような
ひっかかるようなきがして
指を舐める

夜が燻る
夜が放火する


にがい指
きのうしか知らない
わたしが上手に眠れるまで
ねんまくでつながれる哀れみのよう
きのうまでしか知れない体
指を舐める

夜が燻る
夜が放火する


やわらかいものがほしいけれど
ここにわたしの体ぐらいしか、無い



夜が燻らせる
夜に、

  放火されたシトラスが 紫煙を蹴散らして




サイレンが鳴りはじめる
いくつかのカーテンのむこう





自由詩 夜が燻る Copyright 杠いうれ 2008-04-24 11:02:24
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