ポワソン・ダブリル殺人事件
雨を乞う

 

 一線を引き続ける僕らの鉛筆が迚も長いことを全部夕景のせいにして、要らない考えを消去しなければ。こんな小さな東京でどうして君には遭えないんだろう?僕は馬鹿に冷静で、狂うことすら覚束ず、右手の痙攣が終わらない。宇宙工学や物理科学が鋭く進化を遂げても心は伝わらないんだな!眠ろうとも冴えた眼で、直方体に変形した身体が隅や角に納まっていく。正誤を誰かに委ねている、あと一駅の呼吸。

 隅田川は桜の季節、いつの間にか超越してしまったよ。今はこの人混みの行き先を探さなくていいんです。抗えばきっと僕の瞳は老いていく、込み上げてきた悲しい感じを左手で新しく慰める。青梅行きの四月の魚にばらばらにされる妄想で到らない満足を欲しがって、戸惑って、血走ったって、春!邪魔をするな、ぶっ殺すぞ。

 


自由詩 ポワソン・ダブリル殺人事件 Copyright 雨を乞う 2008-04-02 20:15:28
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