渡る 凪いで
縞田みやぎ

街灯
もっと先

わたしの まるい はらから
おんなのひとがこぼれる

まるいかたちが 半分ずつにくずれ
白いはなびらの群れ
花粉のこぼれたところを
なぞる
なんども なんども
ゆびのはらが黄色く たいらかな
夜のおわる ところ
わたしの背はこごめられて
もう せんから
眠る鳥のかたちをする

街灯
もっと先

わたしのまるい おんなのひとは
ぽつんぽつんと立ち止まって
一歩ずつ ひとり ひとり
うっすらと息をする
見上げる手足を あおむける

街灯
肩を抱くのは
わたしとわたしたちの手と足とはらと
わたしたちの見渡せる 手と足とはらとの世界
おてんとう が 高く
あんまりに白いからなのです
微笑んでいるのは
あんまりに

もっと先
点灯
点灯
点灯

ようやっと 夜のおわる ところ
だいぶん満開にしておかれる
高く 高く
鳥 は

しんとして白く
すぼめて
はばたきのしたくを はじめる


自由詩 渡る 凪いで Copyright 縞田みやぎ 2008-01-23 00:41:10
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