トリプルアクセル
木葉 揺

鍵盤の流れ
書斎の壁
狂った額に優しく
私は受話器を落とす

「悲しみを愛せよ・・・」


無数の音符に巻かれて
加速する刃
氷を突き、宙を舞った

私は目覚める

衝撃は転調に救われ
喜びに溶けこむ


第三楽章が終わった
銀色の涙がパチパチと鳴り
平等に降りそそぐから
私はしばし打たれ続けた―


窓からグレーの光
そっと机に向かいペンを執る
言葉の上にも
銀色の粒が反射していた


自由詩 トリプルアクセル Copyright 木葉 揺 2004-06-17 01:23:39
notebook Home 戻る 未来