味覚障害
千月 話子

おネギは好きじゃありません
口に広がる芳醇な リカちゃん人形思い出すから
子供の頃にかじったのかな?
美味しそうな 太股んとこ
そんな訳で味覚障害 おネギの美味さが分かりません
リカちゃんハウスはビニール製で 開けた瞬間目が回り
鼻をやられた小さな子供の 脳髄深く刻まれる

フキはあんまり食べられません
口に広がる爽やかな 化粧水を思い出すから
子供の頃に舐めちゃったのかな?
トロンと 蜂蜜色のやつ
そんな訳で味覚障害 フキの美味さが分かりません
煮込まれた薄緑は鮮やかで 噛んだ瞬間動きが止まり
ギャップにやられた小さな子供の 網膜深く刻まれる

レバーはかなり嫌いです
口に広がる濃厚な 川辺の砂を思い出すから
子供の頃に食べちゃったのかな?
湿った丸い ドロまんじゅう
そんな訳で味覚障害 レバーの美味さが分かりません
串を頬張る親父につられ 噛んだ瞬間腰砕け
吐き気にやられた小さな子供の 奥歯深く刻まれる

ああ、未確認味覚障害な私の日々は 驚きの冒険なり。


自由詩 味覚障害 Copyright 千月 話子 2004-06-14 23:55:37
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