迫力の無い思想
花山草太郎

みっちゃんおいで、とパパが言う

みっちゃん走ってついていく

パパ時速60kmまでアクセルを踏んで振り切る

みっちゃんは平成のドーン・ケッテンシーとまで言われた脚力でこれに追いすがる

両者の差はみるみる離れていく

さすがに和製ギルバート・ジョンソンのみっちゃんと云えども280馬力には敵わない

絶望的かとも思われたが、次の瞬間パパの

それはそうと昨日、ついカッとなって原付で巻沢まで行って来ました。
昔、水族館が建ってたあたりに70とか80歳くらいのお爺ちゃんが集まってて、
その隙間からちらちら炎が見えます。
焚き火をしているようでした。
色とりどりの熱帯魚たちは黒く焦げてどんどん崩れていきます。
みんな基本的に黙ってるんですけど、たまに
「焼けないな」とか
「まだ残ってる」とか言うんですね。
会話はなくて、そういう一人言がポツポツ聞こえるんです。

何で集まってるのかとか、後で不思議に思うことはあったんですけど
その時は燃え残っているエメラルドフィッシュをずっと見てました。
青い鱗がてらてらと光っていました。


未詩・独白 迫力の無い思想 Copyright 花山草太郎 2007-11-21 02:16:06
notebook Home 戻る  過去 未来