ふつう顔の美女

タイクツな午後の講義。
窓の外から聴こえてくる不思議なメロディと
教室の真ん中まで伸びてくるあったかい日差し。
どこからともなく、遠くから、寄せては返す波のよーな音。
だと思ったら、波の音じゃなくて先生の声だった!
あんまりにもきもちヨカッタので。
てか確実になんちゃら波がでてましたよ先生いまの声!

で、視線は自然と斜め3列前方の席に座ってる
及川奈央(AV嬢)似の女子のほうにいってしまうわけです。
て、それは単にお前の好みの問題!
てゆーか、及川奈央は実際に美女なんだけれども
話がややこしくなるのでそれはそれ。
好みはどうあれ誰もが感動的に(もしくは無感動に)
「美女」だと感じるその基準について。
もしくはぼんやりとぼくたちが「常識」と呼んでいるものについて。
ぼくたちが「見ているもの」と、ぼくたちに「見えているもの」について。
授業中に考察したことを書こうと思ったんだけど、長くなりそうなのでやっぱり止めよう...。

そうそう、ランダムにいろんな人たちの顔(スナップ写真)をたくさん集めて、
コンピュータで集めた彼、彼女らの「平均顔」を割り出してみると、
不思議とみんなの顔の「平均顔」は、「美男」「美女」になるのだそうです。
「美男」「美女」なんだけども、それでいて、ある意味どこにでもいそうな「普通」の顔に。
逆をいえばその彼、彼女らの「平均顔」からの、微細な「ズレ」こそが
味わいのある、さまざまなぼくたちの顔の「個性」を生み出している
とも言えるわけですが、ところで
そんなぼくたちの個性的な顔をたくさん集めれば集めるほど、
ぼくたちみんなの顔の「平均顔」は次第に、いつも必ず、あるひとりの
美男(美女) の顔へと、近づいてゆくのだといいます。
みんなの顔が集約されて立ち上がる"そのひとの顔"は、
ぼくたちみんなの「平均顔」であるわけで、
もちろん「誰の顔」でもないわけだけれど、
ランダムにたくさん集めれば集めるほど、いつも必ず、
「その顔」の輪郭は、正確に再現されてゆくのだそうです。

ぼくたちの「誰の顔」でもない美男、美女の「その顔」(=平均顔) は、あたかもアダムとイブみたいに...。

もしも、丸くてせまいこの地球上に生きる65億の
あらゆる人たちの、あらゆる顔の「平均顔」を
割り出すことに成功したとしたら、そのとき、
コンピュータのモニタに映し出されている「普通」の顔は、一体、誰の顔?


散文(批評随筆小説等) ふつう顔の美女 Copyright  2007-11-06 18:48:40
notebook Home 戻る  過去 未来