いつか
ふるる

いつか、


絶対に来ない
来ることのないいつかへ向けて

わたしはリンゴを収穫する
重たい実をぷっつとハサミで
ずっしりとしたひんやりが手に
枝はお辞儀をして
チャオ

それからあおい空は
タイルにざっと水をまいたように晴れて
雲はいらないの
羊がいるからね

していた耳栓を
そっと外す

ああ
マドリガル
マドリガル

世俗なる響き

牧草を食む
多くの羊たち

あなたたちはくっきりと
空を侵している

次に空を飛ぶ動物は
やっぱり羊でなければいけないわ

「そこは羊音上げて」って言うの
いつか

いつか、

あなたが

離さない
離さない
泣きなさい

ううん、
やです

このリンゴをきれいに
ためいきで磨いて
市場に持ってゆくのだから

わたしは
タイル磨きもとても上手よ
ほら
ぴかぴかに

いつか、
飛べる動物に
なるといいねって


自由詩 いつか Copyright ふるる 2007-08-20 21:56:12
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