おっぱい
れつら


飛び魚が川を逆流しながら跳ねてる 胸焼けを起こしそうな景色 を手を繋いでみている ぼくときみ ぼくときみ ぼくときみって言いたいだけの 今日が連鎖している そのうちしなくなる そういう景色 トゥデイ あわただしい日々に何かを忘れながら って本当に何かを忘れたことがあるかい ほんとうに何かを忘れたってことを感じたことがあるかい 春があった 夏もあった 秋もあった 冬も きみにあった あったか あったかかった日々に針がかかった 靄掛った視点から眺める釣竿の先端 編纂していく辞書 ひそひそと声 吠えるようではなく 戸手のあたりの景色のような 手引きもないそうな ひとりでいく旅 日本列島ここで始めてここを通ってここに居続ける 居留守でスルーする クルーたちの呼び声 船長 添乗員が足りない 天井には穴 ってゆーか空 みたことか 稲穂とか刈り取られた海 生命倫理 丁寧に汲みとっては手を離すとしずく 息づく魚の波間 のようなきみの呼吸 が聞こえているその途中で 補給できない気力が ひどく 散漫なんだ
そう、倫理 禁じられた遊び は近日中に隠微に穏便に 老廃物に沈殿物に 血管が詰まる ところ 綻びはじめる衣 夏は来ぬ って来るのか来ないのかわかんない 亜寒帯の凍りついた草花 疑わなきゃよかった気持ちとか ひもじいとか言ってる爺とか いじることとかおちんちんを 信心深く差し込んでひとつになりたかったこととか 弟が生まれたときのこととか

ねえ きみがもし不治の病になってもおっぱいだけは切り落とさないで 音沙汰ないトゥデイから伝言 専門医の判断より愛らしい祈りを いのちを落とすとしても知るもんか 切るもんはもうないんだ バインダー閉じたまま開かなくなっていくのが昨日ってこと ってことはぼくらの閉じられた時間 みかんのふたつ転がる炬燵の上から 触れたなつかしいって気持ちは未来に 意外に明日のほうが昨日より懐かしいってそういうこと 挿入すると きみはいやがらなかったいつも ひとつも例外なんて無かったしあったとしたらそれが忘れたってことの正体 だしそんなの生涯思い出さない はかないちぶさの上で跳ねる指先とか 浮き足立った爪先 暗さに耐えかねてぼくときみ 速度じきに落ちて止まるよこの船は 孤独ではないかもしれない でもそれじゃいけない あぢけない行いのあいまに爪先をもういちど差し込んでちぶさにひかり つぶさに眺める 離れては近づく呼吸のたびに ちぶさはふたつその上で浅黒い花がふたつ



自由詩 おっぱい Copyright れつら 2007-07-08 10:02:26
notebook Home 戻る  過去 未来