月夜
石瀬琳々

街灯に蛾が群れている
明滅する明かり


雲がさあっと横に分かれて
月が顔を出した
誰もいない
蛾がひっそり群れている


角からぽーんと勢いよく
何かが飛び出した
赤いビニールボール
鈍く光りながら
跳ねて転がって


月はるるると渦を巻いて
投げかける光りは
金のシャワー
街はひっそり群れている


坂にざざっと続く階段を
跳ねて落ちてゆく
赤いビニールボール
どこまでも どこまでも
あの街に届くまで


明滅する明かり
月夜に街は群れている






自由詩 月夜 Copyright 石瀬琳々 2007-05-17 14:58:16
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