キリンと
ねろ


誰かの足跡が誰のものでもなくなって
行き交う人は無音の足音を響かせる
黄色と黄緑、とピンクの水玉が歩いていく
夜をつれて来る られつのまわらない僕は
這いずり回る僕とすれ違い明滅を繰り返し
唄いながら歩いていく

赤い糸電話で繋がる僕と君
昨日青い8がきた事なんか知ってるよ
深海みたいなビイ玉がころがっていって
寝癖がついた後頭部にキリンが巣食う

夜のかくれんぼうは光のない場所から始まる

猫の目の下の縁に黄緑のアイシャドウ
舐めとられていく色彩のデッサン
震えままひざを抱える感傷
黄色い四角の天使がやってくると
僕の感情は隠されて出てこなくなった

夜のかくれんぼうはキリンのいない場所から始まる

黄色のらくだの頬の窪んだ輪郭
おもちゃの迷路と深緑色した草食恐竜の群れ
プールいっぱいの絶望とエデンを模した朝焼け
デッサン描き散らかして千切った跡の室内の空気

雨が降る時に一瞬花曇の匂いがする
それは僕の部屋のカーテンと同じ匂いがする

マーメードラインの女の子が何かを喋っていた時
同じ空を見ていた その言葉の意味は赤のhで要約される 
それは涙に溺れた蜂の種 それを蒔く灰色の娼婦
天使と裸婦は感情に似ているというとどの辺りかと
君が尋ねるから僕は実体の無い所と言ってみる

僕の部屋のカーテンと君の部屋のカーテン
は同じ色かどうか気になるけど聞かないでおく

かくれんぼうはいつのまにかかくされんぼうになっていた

君もいつか隠されるのかなその時は多分目の前じゃない

チェスの王様投げた後自分の服の裾を引っ張ってる
引き出しの中で鳴る滴の音が好きだ

誰かの足音が誰のものでもなくなって
僕は自分の足音を響かせる
這いずり回る僕とられつのまわらない僕は
悲しくなってすれ違った後少し泣いた




未詩・独白 キリンと Copyright ねろ 2007-04-21 23:40:49
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