家のない家族
ぽえむ君

どこにでもある公園の
どこにでもある家族四人が遊んでいる
けれどもその家族には
家はなかった
それでも着ている服はちゃんとしていたし
髪の毛も長すぎず短すぎず
食べるものも食べている
とても健康かつ健全な家族に見えた
彼らはお店や家を回り
必要ではなくなった服や余った食べ物や
生活用品をもらって生きていた
彼らの生活は規則正しかった
一人一人の分担や役割を
それぞれがきちんとこなして
常にその家族は一致団結していた
外で寝ている分
病気には十分の注意を払った
親から子どもへの教育やしつけも
きちんとゆきとどいていた
子どもたちは人の心の傷みを理解していた
公園のベンチで
母親の両脇に子どもたちが座り
母の読む絵本の姿に幸せが見える
彼らには家という名誉は必要なかった
無理のないそして無駄な役は演じない
まさにそれは家族の生活と絆であった

ある日の朝
その家族は公園からいなくなった
次の生活場所に移ったのだろう
ベンチの上に
絵本が一冊だけ座っていた


自由詩 家のない家族 Copyright ぽえむ君 2007-03-31 21:08:33
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