「 マコちゃんぺっ。 」
PULL.







マコちゃんはぺっと思いました。
でも床に唾を吐いたら、
もっと嫌な気分になりました。
床はみんなの唾でぬるぬるでした。
マコちゃんの唾はみんなの唾と混じり合い、
もごもごと蠢いていました。
踏みつけると、
唾はさらにもごもごとしました。
踏みつければ踏みつけるほど、
唾はどこまでももごもごとしました。
やがてもごもごと、
唾は泡立ちはじめました。
そして唾は立ち上がり、
人の姿になりました。
もごもごともごもごと何かを呟きながら、
唾はマコちゃんに近づきました。
一歩近づくごとに、
唾はマコちゃんの姿になりました。
唾のマコちゃんはマコちゃんに向かって、
こう言いました。
「おとうさんぼくを吐いてくれてありがとう。」
言い終えると唾のマコちゃんは、
マコちゃんがそうしたように、
ぺっとしました。
顔に引っかかる唾に、
マコちゃんは思いました。

ぺっ、












           了。



自由詩 「 マコちゃんぺっ。 」 Copyright PULL. 2007-03-13 08:08:02
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