オオカミに襲われた傷
カンチェルスキス

 

 もうオオカミは吠えない
 寝静まった夜更け
 窓の向こう
 開かないパラシュート
 地面で弾む音が
 幾つも聞こえる



 氷河期の時代
 地球上には
 愛がなかった
 まだその時代は続いてるって 
 誰にも知らされてないのに
 何だかわかってた



 曇ったギャラクシー
 天秤座の星の巡り
 ジーザスと
 出会って地獄に堕ちた



 取れかけたドアを
 開けたら
 飢えたオオカミたちが
 襲ってきた
 自分と同じ
 悲しい目をしてたから
 皆殺しせずには
 いられなかった



 どこへ行くでもなく
 ここに居る
 サーカスの出番前に
 オオカミに襲われた傷が
 癒えるまで



 肉をぶったような
 パラシュートの開かない
 鈍い音
 耳を塞ぐのも嫌だから
 雨のように
 聞いてる






自由詩 オオカミに襲われた傷 Copyright カンチェルスキス 2007-02-17 15:53:55
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