祝婚歌
チアーヌ

雪の降る夜
暗い工場脇で
体を探りあったこと
覚えてる?

あなた息遣いが
荒かった

学校帰りの
暗がりで
キスをしたことも?

二人とも
熱くなったね
寒いのに

体を抜けるほど大きな音で
チャイコフスキーを聴いたね
6番

もう覚えていないんでしょう

レッスン室でいちゃついていて
先生に怒られたこと

あなたが伴奏を弾いてくれて
歌を歌ったこと

あなたのヴァイオリンを
目を閉じて聴いたこと

そして
わたしたち
最後まで
できなかったこと

懐かしいね

わたしは全部
覚えているよ

はじめてがあなただったら
良かったなと

あなたははじめてにふさわしい
男の子だったと

今でもたまに
思うよ

雪の公園で
足跡つけたね
ふたりで
うすぼんやりした
街灯の下
今も
目に浮かぶよ

お幸せに




自由詩 祝婚歌 Copyright チアーヌ 2004-04-14 20:55:44
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