蒼木りん

気づいているだろう
あのときの
以来
僕らは
何もかも奪われる運命にあるのさ

気づいているだろう
身体もこころも
気持ちも何かを
剥ぎ取られるような
痛みを感じているって

君も
気づいていたんだろう
侵略してくる者たちの影を
誰よりも確かに
目をそらさずに

いつか
また
差別の時代がやってきて
生温かった
ひとつの季節が過ぎる

時の流れは
織物の糸のように
さまざまな色目で出来ている
移る模様
哀しい人色模様

口を噤む
目を瞑る
耳を塞ぐ
こころを閉ざす
僕らは

目指すもの
奪われて
自分を見失って
水と食料だけ
与えられて生きてるのさ

愛だけが
全て救えるっていう
遠い
地平線に蜃気楼みたいなもの
追いかけて

雪すら
この手に舞い降りて
融けてゆくことなく
春が来るなんて
そんなの

嘘だって
思わないかい



未詩・独白 Copyright 蒼木りん 2007-01-31 22:28:42
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