涙じゃなかったらなんだっていうんだ
たたたろろろろ

あたし きっと
涙腺 とか、粘膜 とかが
とても ゆるいのよ

きんいろの
金色に傷んだ髪がかなしい

涙とか、そういうん じゃない から
気に しないで

きれぎれで、くぐもった声は
余計に低くひびいて、部屋中に、長く

気にしないなんてことができるものか

おれは代わりに玉葱を
刻んでやることくらいしかできないのだけれど
それだって
おれだって
泣きながらやるんだ
きっとおれも同じところが
同じようにゆるくて

風がすこしおかしな調子で吹いたり
冷蔵庫が何かを訴えかけてきたりするのを
聞いただけで涙がでてくる

おれは彼女の頬のあたりを舐めて
ひりひりしているんだろう、彼女は肩を震わせた

熱い
涙じゃなかったらなんだっていうんだ

熱くて、
その熱さゆえに消えいりそうな心を
全部、おれにくれ

 





自由詩 涙じゃなかったらなんだっていうんだ Copyright たたたろろろろ 2007-01-24 00:01:35
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