窓からみる
たたたろろろろ
カーテンを頭からかぶる、冷えたぬくもり
いつも思い出してしまう
ぼくの好きだった女の子は、ぼくの嫌いだった男の子と
ふたりで、教室の真白なカーテンの中でくすくす笑っていたんだ
いま、ぼくが好きな女の子は、さっき目が合ったばかりのあなたです
窓ガラスを二枚、隔てて見つめあうと
なにもかも解かりあえるような気がしてしまうのは何故だろう
ぼくの後ろの黒いカーテンと、あなたの後ろの黄色いカーテン、
二枚の窓の間には、やわらかに白い雪が舞っていて
あの頃のカーテンにはおかしな空間をつくる力があったね。
話し声、きこえてたよ、いやらしいね。あ、ぼくが?外からは
まるみえだったんじゃないかな、教室は一階だったから。見せ
つけたかった?それは出来の悪い密室のような、前衛的な舞台
のような。白く、きもちわるい動きをして、漂白剤のにおい。
誰も近寄らなかったけど、窓際一番後ろの席のぼくはきいてい
たんだよ、いやらしいね。あ、ぼくが。おかしな、素敵な空間
だったんだろうね、空が青くて、あたたかくて。ふたりは窓か
ら何をみていた?
いま、窓を開けたらきっと、冷気と雪と、屈折をひとつ失ったあなたが得られるのだろうけど、それは何かを、あの日からずっと望んでいて、やっとぼくが手にした大事な空間を、瞬時に崩してしまうような気がして、ああ、屈折している?その、あなたのなんとも言いえない表情が好きだ、みていたい。まだこんな時間だから通行人もいるにはいるけど気にしなくていい。あなたと、ぼくが新しい空間を手にしているのは、この雪たちのように明白だから。それは出来の悪い密室のような、前衛的な舞台のような。窓からみる。ぼくはあなたをみている。あなたはぼくをみている。
自由詩
窓からみる
Copyright
たたたろろろろ
2007-01-20 05:31:09