リアルは断定しない — 子守唄には戯言が一番 —/ホロウ・シカエルボク
 
以下の方がこの文書を「良い」と認めました。
- アラガイs 
周囲の喧騒から逃げ出したくて自然に囲まれた物淋しいペンションに一人で一泊した事があります。人の気配も、まして車や機械の音も耳に伝わってこない空間です。広々とした窓に、夜などは何か獣がひょっこりと現れるのじゃないかと心配になってきた。それほど山奥でもないのに、夜などは静か過ぎて眠れない。持って行ったプレーヤーの音を大きくして聴いたり、備え付けられたテレビを見たりしても一向に落ち着かない。ゆっくり読書をしたり文章を書いたりとの目的はついに果たせなかった。数年後に同じような事を街のラブホテルでも経験しています。 脳検査でMRIを経験したことのある人なら、あのヘッドフォンからながれてくる騒音には辟易したことだろう。核磁気共鳴画像。脳波を刺激する音が如何に人体に影響を及ぼすことか。 可視化できない電磁波は幽かな刺激を帯びて夜の静寂を飛び交う。昼は様々な機械の演舞する騒音を脳は受け入れている。我々21世紀を生きる人間の神経細胞に影響を及ぼさないはずがない。
共有されたノイズ、ノイズ、ノイズ 。独り言ならば共鳴でつながる構造は必ずあるはずだ。



- こひもともひこ 
ごちそうさまでした。
 
作者より:
アラガイさん○僕の実家は小高い山のすぐそばにある小さな住宅地でした(今ではすっかり騒がしくなってしまいましたが…)。しばらく街中で暮らしていて身体を壊し、いったん実家に引き上げたその日、電気を消すと真っ暗だし、虫と蛙の鳴き声以外何も聞こえないしで、まったく寝付けなかったことがありました。といっても、実家は半日あれば行って帰ってこれるところにあるんですけどね。アラガイさんの文章読んでたら急にその夜のことを思い出した。その夜から数年間は田舎の空気にすっかり慣れ、三十台にして隠居を視野に入れていたのですが(笑)、朗読会やらローリングストーンズやらで久々に都会の空気に触れ、「やっぱ隠居なんてするべきじゃないな、これだよな」という気持ちになったものです。パティスミスのアルバムに「ピースアンドノイズ」っていうのがあるんですが、当初は平和と静寂というタイトルの予定だったとか。やっぱそうなんだよなぁ。

こひもともひこさん○ありがとうございました。

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