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「愛情不足だったから 
棘だらけになった」


――サボテンが?


自分の間合いで生きればいいさ
手前勝手になれなれしくするやつは
痛い目に合わせてやればいい
傷ついたなんて言う ....
十八歳はまだ子供だが
大人が思っているよりは遥かに大人だ

たぶん
若者が政治に関心を持つのは良いことだろう
だが若者を自分の陣営に引き込むための諸々の画策は
わずかばかりの党員予備軍を生 ....
足音は足跡から乖離する
帯びた意味を秘めたまま
けむりのように漠然と白い
地球を見上げる朝に
ちぎられた円環のビーズ
偶然が描いたあなたの星座を
子猫がシャッフルする
無邪気さと予感の熱 ....
わたしの愛しいお月さま
 借り物の光で身を装いながら
 あなたは女王のように天を渡って往く

わたしの愛しいお月さま
 ちょっと見わからないが肌は荒れ
 あっちもこっちも傷だらけ

わ ....
雨が降るのは拒めないが
雨降りに何をするかは選ぶことができる
濡れたくなければ家から出ないことだ
出かけるのなら傘を差せばいい
傘がなければ濡れるしかないが
傘を差しても多少は濡れる
濡れ ....
かなしいがいっぱいになって
泣きだした
よくとおる声で
しゃくりあげ
虐たいではなく
とおり魔でもない
がんぜない
わがまま
しわのない顔をせいいっぱいゆがめ
大つぶの涙おしげもなく ....
ある日夢を見た
大統領専用機をハイジャックして
銀翼のブーメランは肥えた豚の脇腹をえぐる
全ての核が夜明けのように地球を照らし
先史時代の遺跡に月が冷たく口付ける
砂場で遊ぶこどもの和毛が音 ....
今朝あなたの手紙の上
木漏れ日が踊りました
強い日差しは濃い影を生み
風のなすまま掻き乱されて
静止なんてありえたでしょうか
いつも新鮮で
動揺は隠せなかった
なのに
身じろぎもせず
 ....
光が濁っている 
花粉のように
ここは
朝なのか
もうずっと前 
愛した
あの誰でもない……誰か 
夜の湿り 
かさねた翅 
月の淡い幕に覆われて 
昨夜のことか
精をささげ 
 ....
冷たい灌木の素足を芝草が覆う
うぶ毛のようなスギナの森
露に閉じ込められて朝の光が震えていた

「友よ お飲みなさい
こっちは先に頂いています もうすっかり
辺り一面へ溶けだして ほら太陽 ....
   さえずりは無制限に落下して
 漲る心臓
内側からほどけ展開する
うすべに浮遊都市
生贄のメリーゴーランド
空を蕩かす視線を
 火の羽衣に包み
牡丹 
  ゆるりと爆ぜ
     ....
ワイシャツの袖から小さな蜘蛛

どこかで難しい事を考えている

道行き庭々の花に見惚れながら

かけらばかり指先をかすめて往く

陽だまりの深宇宙に不快はない

言葉もないからちょ ....
月曜日
連なるうろこ雲
蟻から見れば雲突く大男が
注がれたばかりの朝を濁す
休日に書き残したカタコト
浴び続けた音の粉末を
明け方の夢の切れ切れと一緒くた
焼却炉みたいに燻らせながら
 ....
わずか数滴
血を受けたグラスのように
鈍く燃える吊り照明の下
やり過ごす唇に 骰子ひとつ

  十一時五十三分発特別急行

待たすより急かすより
テーブルに降りた静謐を挟んで
流れ  ....
見慣れない鳥を見た
あとからそれがカササギだと知った
あたまの良い鳥だという
どうりであたまが大きかった
白と黒 翼の青
尾羽はすーっと長い
見栄えのする鳥だ
カササギは落ち着いていて
 ....
白樺の若葉は濡れてなお淡く
陰りの中に揺れ
畑の麦はより深く  
滲むように息づいた
日差しにかすむものたちが
雨の日には薄められず
沁みて とおる
焦げついた所まで
土の匂い 
湿 ....
うすい眠りに包まれて
探っている
五月の風を手招いて萌える木々
光の纏いで取り戻す
ざわめきの形象は
淡く爪先立ち
まどろみに波紋を呼び起こす
山と山との重なりに
隠された遥かなる道程 ....
石の中から掴みだし
ほとばしる火の
洗礼により
おまえ打たれ
錬られ砥がれ
握られた人と共にあって

土を切り開き
木を切り倒し
人を切り裂いて
国を興しまた滅ぼし
繁栄と文化
 ....
ぽろぽろあまだれ
跳ね蛙スローモーション
滲む文様から浮かんだ島
鳥に紛れ白髪女ひとり
永い束ねを千切る声震わせて
ふたつみつの影を漉く
ひと筆の青さもない
そら背負ってうみは来る
  ....
もみの木のてっぺんで何してやがる
季節外れの煤けたお星様って訳じゃあるまいし
カラスのくせに風見の真似か なに
風は見るものじゃない 乗るものだって?
違いない 世のなか乗ったもん勝ちよ
だ ....
二匹のマルチーズと男が一人
春の錯覚を辿りやって来る
姿はゆらぐが後ろめたい足跡は一切なく
コンビニ袋のなかに桂馬を隠している
策士だが出世はできない
文脈の中に時は在って無いようなもの
 ....
見えなかったものが見える
ふくらんで
ふくらんでほどけ
ふわり ひらく
ゐろかおりかたちあまく
風に光にとけて
そらを渡るもの
ほそい弦で触れながら
匂やかな{ルビ詩=うた}の足跡をた ....
若い頃は良かった
なんて言わない
思わない
今が一番
いつだって
これからだって

とかなんとか言ってみても

こんな春のいい陽気に
年頃の娘たちが
きれいな足を惜しげもなくさら ....
蛇はひと口咬んで
あとは丸呑み
四の五の言わず呑み込んで
ゆっくりと消化する

蜘蛛は牙でひと刺し
注射して中身を溶かす
あとはハンモックで横になり
ゆっくりストロー

蛆は胃液を ....
生神の鍬に
ぬっくり耕され
おれは畑になった
ねじ切られた灌木の陰茎に
スズランテープが引っかかって
女の声みたいに風がふざけている
ムクドリ毛虫食え
ミミズ食うな
おれはミミズの糞を ....
《ひどい! わたしの蕾に粉砂糖したの
姉さんでしょう
《あなたがはしゃぎ過ぎなの
わたしはまだ帰り仕度の最中よ
《ああうるさい こんな早くから蝉はよして
まだうたた寝したいじゃない
《駄目 ....
2016年3月21の吹雪
   対
マイルス・デイビス
 「Bye Bye Blackbird」


      コーヒーの湯気と
      古いポートレート
      中心を射抜 ....
予約時間に早すぎて
十数年ぶりに弘南堂書店へ往く
見慣れたブックオフとは違う
天井近くまで積まれた学術的古書に
おまえの目は泳いでいる
楽しい散策 わたしには
安い棚から掘り出した一冊は
 ....
籠から溢れそうな
熟れた果実の
すこし傷んだ
あまい匂い
視線は蠅
めまい/匂い/めまい
スケッチしながら
溺れている
出口のない部屋
ぬるい潮が満ちて
鋭い線が
削り盗り
移 ....
土手の手つかずの雪が老いて
カラスがなにやら啄んでいる

穏やかな冷気に衣服の戸惑い

惜しめば儚く望めば遠く声は
なにも残さないただ揺らした

言葉が追う死者を追うように

セー ....
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タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
自己受容と自己正当化は違うのさ- ただのみ ...自由詩9+*16-6-29
政治と若者についての放言- ただのみ ...自由詩9*16-6-25
服毒説- ただのみ ...自由詩10*16-6-25
微笑- ただのみ ...自由詩13*16-6-22
雨が降るのは拒めないが- ただのみ ...自由詩10*16-6-18
がんぜないもの- ただのみ ...自由詩11*16-6-15
夢見ぬ人- ただのみ ...自由詩8*16-6-4
紙のドア- ただのみ ...自由詩11*16-6-1
ヘビトンボ- ただのみ ...自由詩5*16-5-28
不法投棄地帯- ただのみ ...自由詩13*16-5-25
夢と現の境で瑞々しく花首垂れる者あり- ただのみ ...自由詩10*16-5-21
蜘蛛連れて- ただのみ ...自由詩5*16-5-18
トゥリャ・トゥリャ- ただのみ ...自由詩7*16-5-14
待つふたり- ただのみ ...自由詩6*16-5-11
カササギ- ただのみ ...自由詩8*16-5-8
雨/みどり- ただのみ ...自由詩11*16-5-7
混濁- ただのみ ...自由詩10*16-5-4
- ただのみ ...自由詩8*16-5-1
あめふらし- ただのみ ...自由詩9*16-4-27
風談義- ただのみ ...自由詩13*16-4-23
春陰茎- ただのみ ...自由詩5*16-4-20
春小景- ただのみ ...自由詩12*16-4-16
青春時代- ただのみ ...自由詩17*16-4-13
はかないで- ただのみ ...自由詩11*16-4-6
土人- ただのみ ...自由詩12*16-3-30
四季姉妹- ただのみ ...自由詩10*16-3-26
jazzと珈琲と火事と詩- ただのみ ...自由詩10*16-3-23
北大病院にて- ただのみ ...自由詩17*16-3-16
空白の果実- ただのみ ...自由詩12*16-3-12
春葬列- ただのみ ...自由詩19*16-3-9

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