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萎んだ心に息を吹き込む
空気のように目には見えない
大切なものが漏れて往く
紙屑の皺を伸ばすように
 歌い出す 
いのちの輝きは遥か
記憶の地平の彼方
燃え落ちる花のように笑っていた ....
ああ神よ どうか
四十五パーセントくらいの誤解をお与えください
少なくても三十五 三十は行き過ぎです
勝手な想像と思い込みで
悩んだり喜んだり
怒ったり主張したり
素敵な誤解を捧げあって
 ....
蹴破る足はないが
閉された扉の前で待つ気もない
おれ自身が監獄
   だから言葉は旅人だ
去り行く背中に
   翼など無く
     タダノモジノラレツ蟲は

   預言の首飾りの哀歌 ....
突然窓から入って来たかと思うと
開きっぱなしの聖書を勝手にパラパラめくり
挨拶もなしに出て行った
――相変わらずだな
きっと満開のニセアカシアの間を抜けて来たのだろう
すると今頃は下の公園辺 ....
仕上がった作品を手にとり
出来栄えを確認する
(……駄作だ)
地面に叩きつける
が 割れない
金槌で叩いてみる
が やはり割れない
もしやと思い豆腐の角にぶつけてみる
が そういう問題 ....
小林峠の近くで
狐が轢かれて死んでいた
珍しいことではない
狐も 狸も 猫だって
だけど道路の端の方で
轢かれたばかりらしく
まだ そのままの姿で
顏だけが歪んで血まみれで
瞬間の ....
花が笑うような日だから
つんのめった想いからビー玉みたいな嘘が転がっても
誰をも恨むことはないじゃないか
翼を切られた幼子も
失くした以上に強奪しながら
物足りなさに役立たずの爪を研ぎながら ....
アスファルトに残された雨
今は水溜りと名を変えた
干上がりかけたわずかな身に
懐かしい空を映す
風の愛撫にさざなみながら

二羽のすずめが水浴びする
天と地といのちが戯れ交じり合う
明 ....
すべる 若葉の上を
果てしのない空の歴程を越え
円い揺りかごに大地を包む

はねる ピアノのように
ひび割れた思想の冷たい黙示の上を
目覚めの兆しを死者の鼻先で踊る

はじける 終わり ....
薄給を補うための朝刊配り
早起きは三文の徳
それとも 
  貧乏暇なしか

 夜が青く澄み始めるころ
  {ルビ静寂=しじま}に溶けだす光の産声に

早起きで貧乏で
徳もなければ暇も ....
親愛なるショウコ様

わたしは有りもしない食事を温めます
冷静な面持ちで 本質は野蛮
回りくどくて執拗 ときには結果オーライの力技
事の恥部を明らかにしたならば
したり顔で仮想の敵をフォー ....
架空の手紙を書きました
咲いて間もなく突風に打たれ
瑞々しく散った桜のように
泣くでもなく微笑むでもなく
同じ景色の縛りの中で
そこはかとない諦念の香りに包まれて往く
ひとつのイメージへ
 ....
蛇口から 
    ゆっくりと
         こぼれて
             おちる
透明で
   ふくよかな
        水の
          躍動よ
掌を
  舟 ....
昼下がり 
古いテニスコートを占領して
自転車の練習をする女の子
もうずい分上達したようで
ぎこちなくだが転びもせずに
不規則軌道を描いている
ヘルメットを被った人工衛星
昔は誰も被って ....
今夜ぬかるみそうですね
まだちょっと震えていて
瞳は亀裂して手招くのです
梢に掛ったビニール袋の
違和としての惨めさの中へ
眠りは逃げた僕から逆行した

福寿草のように笑う
気の早い毒 ....
弁当を作りながら
異能する君は謎の生命体
昨日までの怒りと不満が
女のカタチに脱皮して行く
鉤爪は残したままで

朝は不躾に明るい破魔矢
夜明けの夢を葬り去って
吉凶を告げるかのように ....
破裂した精神から
無数に咲き乱れる
色とりどりの気球
大気圏を目指すアストロノーツ

「僕らはこの星の火傷そのもの
 剥離する瘡蓋だ―― 」

 ――なのに捨てきれない!

抱き寄 ....
ここにはない
何も踊らない
ただ搾り出された絵具のように
眠たげな静物だけ

わたしの中か
わたしの外か

楽しげな人の姿が
ゆっくりと薄れ消えて行く
古いスナップ写真が
毎 ....
昨日までの自分が仰向けに倒れている
わたしを見つめて
ワタシが言う

「踏み拉き進んで行け
 過ぎ去ったものは階段だ
 額ずくな 口づけするな……」

そっと足をおろす 
枯葉を踏む ....
死語の道徳を囀る一羽の小鳥が
超高層ビルからヒラリと飛んだ
喪失した記憶 飛び方を思い出すための荒療治
ところが思い出したのは
自分が本当は魚だったということ
《しまった早まった! 》
だ ....
いのちの素描 
躍動の結晶を背景に
白い天啓の不規則性
欺くように舞って

――つめたい耳たぶに腰をかける
   そとには沈黙が降り積み
   うちには言の葉降り積む

  
   ....
言葉の針に意図を通すのは難しい
何を繕うでもなく
きれいなシシュウを夢見ては
チクリチクリと傷つける日々


   《針子のトラ:2014年2月11日》
掘削船がやって来る
おれの堆積した泥土を掘り返す
脳だけクラゲの揺蕩いで
光の海に温む予定が台無しだ

  山の麓に猫女が住んでいるという
  噂の真相を求めて捜す者も多いらしい
  捜 ....
雪を被った針葉樹の臍あたり
ふっくりと一羽の雀
小さな瞳に世界を映す
やがて薄曇りの向こう儚げに
手招きをする太陽へと飛び去って
小さな黒点となり
視界から消えた

わたしの煤けた ....
  

異国の少女の瞳のよう 青く澄み
だが雲はお構いなしに夢の中の鰐だ

純白に生れ落ち
気まぐれな冬の微笑みにほだされる
だが夜には冷たくあしらわれ 
朝には固く汚れた肢体を通りに ....
   

卵がスウィングしている
托卵容疑の直滑降は不恰好に喉を塞ぎ
やがて破裂して口いっぱい
玻璃 瑠璃 瑪瑙 罵詈 雑言
秩序の欠如は流星し
脳裏がそっと炙り出す
片手に毬 錦の手 ....
瓶の中にとり残された
ピクルスひとつ

蓋が開くのを ただ
待っているだけの日々

見通しが良すぎて
すっぱい孤独

 
 《ピクルス:2013年11月10日》
夜を抱いて眠っている
布団の中が宇宙だ
せっかちな朝が起こしに来ても
夜が放してくれないのだから
おれのせいじゃない そもそも
三百六十五日ごとにリセットされる
そんな人生を歩いては来 ....
色硝子の目玉をガリガリかじる
虫食いの肉体をベリベリ剥がす
おれはおれを一本の死に花として石の器に生けてみる
瞬間凍結された踊る舌先の焔として
勝ち目のない戦いに身を投じる高揚感で
己の文字 ....
ある日 生まれて来て
わたしは泣いた
そして何かのきっかけで
わたしは笑うようになった
誰に教わることもなく

やがて
何かのきっかけで
わたしは少女と出会い
恋をしたのだ
誰に教 ....
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タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
歌いたい- ただのみ ...自由詩17*14-6-22
イノルフリ- ただのみ ...自由詩25*14-6-18
今はこんな気分で- ただのみ ...自由詩18*14-6-14
旧友- ただのみ ...自由詩30*14-6-8
ウイルス効果- ただのみ ...自由詩23*14-5-31
狐の死- ただのみ ...自由詩21*14-5-24
花咲く散り人- ただのみ ...自由詩16*14-5-22
……雨- ただのみ ...自由詩20*14-5-19
_雨- ただのみ ...自由詩22*14-5-17
分け前- ただのみ ...自由詩12*14-5-12
手紙:RONYORISYOUKO- ただのみ ...自由詩15*14-5-12
五月のレター- ただのみ ...自由詩16*14-5-5
目よ見よ見えない言の花- ただのみ ...自由詩21*14-4-30
めまぐるしくも- ただのみ ...自由詩21*14-4-24
コウフクノモノサシ- ただのみ ...自由詩18*14-4-16
ハッピーマニュアル- ただのみ ...自由詩17*14-4-11
地球詩人- ただのみ ...自由詩25*14-4-4
死を装う春の詩- ただのみ ...自由詩18*14-3-26
踏絵- ただのみ ...自由詩20*14-3-9
歴史の礫- ただのみ ...自由詩14+*14-2-28
二月・北国では- ただのみ ...自由詩16*14-2-25
針子のトラ- ただのみ ...自由詩27*14-2-15
黒い掘削船- ただのみ ...自由詩22*14-2-11
不死鳥- ただのみ ...自由詩30*14-2-8
冬晴れの陰影- ただのみ ...自由詩22*14-2-2
誰が卵を置いたのか- ただのみ ...自由詩18*14-1-16
ピクルス- ただのみ ...自由詩31*14-1-8
一月一日に- ただのみ ...自由詩24*14-1-1
シオマネキ- ただのみ ...自由詩15*13-12-20
誰に教わらずとも- ただのみ ...自由詩25*13-12-15

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