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褒められし 叱られしこと 思いだす
深夜の病棟 祖父の横顔
終点を持たない電車が君を連れ去ってしまった夏の陽炎
洋菓子が際限無しに湧いてくる祖母の漆器はいわくある品
人ひとり縊られるほどの激情を秘めて佇む小春六歳
「砂粒もあまさず愛せ」と説い ....
血液の色にどろりと赤黒く 淀む怨念のごと恋心
「くだらない」と一蹴してよ 頚椎にまとわりついた恨み、首ごと
汚らしい親父の娘麗しく「私がずっと守ってあげる」
煙草より酒より危ない薬よ ....
初デート鼻毛を抜いてメイクして下着代わりに鎖帷子
しゅんしゅんと沸く湯気の上はがされていく、ボクののりづけ
きぶくれた冬の雀がひだまりでおとぎ話の続きをうたう
かあさんの手冷たいねりっちゃんの手はあったかいね
火傷した誰かの指のため ....
からからと 庭の枯れ葉は 風に舞い 集まってゆく 雪のように
チチチチと 小鳥は木の実 ついばんで 眺めるわたし 息をひそめて
ベランダに 小さな服が 並んでいる 冬の陽射 ....
絡みつく糸が意図へと変わる朝に絞り出した最後の誠意
あの頃の自分と語る糸電話から零れてく無色の琥珀
社会人一年目の友が語り出す社会の壁の高さと深さ
....
ほおづきのうすい衣に隠された中に在るのが心なのです
触れたならかすかに心寒くなるふかづめの指先のあやまち
みづぞこに沈んだ家のポストには時々手紙が届くそうです
白波がサーファーたちを ....
図書室の匂いがしてる森の中 紅茶一杯つぶす一日
秋の野に草冠をそっと載せ誰もたたえぬここは萩国
五芒星わたくしの摘む紫の桔梗を君は星だと教え
撫子はまわるまわるよ幼子の見つめる先でかざぐるま
日が経てばすすきの紅い穂もはじけシャン ....