すべてのおすすめ
蟻は匂いのある方へ往く   
一瞬、静止して 
触角をぴくり震わせ 
再び――無心に進む
 
(黒い背に小さな太陽を映して)

日常にふと佇む、僕も 
蟻の心で 
何かを受信しようと ....
ある人は白隠禅師の絵を観て、呟いた。 
「ルオーが観たら、何と言うだろう」 

河童のように禿げた頭と 
あばら骨の浮き出た体で 
髭ぼうぼうのお釈迦様 

美術館の空間で 
ひと ....
食卓に置かれた長方形の皿に 
横たわる、くろい目の秋刀魚は  
いつか世を去る 
私の象徴として、この口に入る 

   * 

日常の素朴な場面を絵に描いた 
一枚の布をバケツの ....
みつめれば、みつめるほど 
世界は語る本となり 
行間の道で草花の囁く秘密は 
旅人の背に、託される 
塩を振られたなめくじは 
縮みあがった僕なのです 

縮みあがった僕だけど 
今は一児の父なのです 

一児の父であるならば 
縮みあがった、この体 

自分らしくのそぉりと 
濡 ....
私の詩は
日々の呼吸のようなもの 

幾千万も繰り返す 
数え切れない吐息等が 
ふいに光るように 

今日も私は 
まっさらに広げた 
紙のスクリーンに 
日々の場面を浮かべ 
 ....
仕事から帰ると嫁さんが 
「はい、これを見て!」と新聞を手渡した 

※今週の本・Top10※ 
1位… 
2位… 
3位柴田トヨ「くじけないで」 
4位… 
5位… 
6位柴田トヨ ....
この世に生まれてから 
今日に至るまでの一日々々を 
風に捲られてきた暦は 

人生の旅路の果ての
終着駅に至るまで 
捲られる暦は 

どれほどの厚みだろう――? 

産声をあげ ....
薄茶けた昭和の古書を開いて 
ツルゲーネフの描く 
露西亜の田舎の風景から 

農民の老婆の皺くちゃな手は 
搾りたてのぶどう酒が入った器と 
焼き立ての丸い{ルビ麺麭=パン}を 
時を ....
日々それぞれの 
場面々々に  
直観の行為、を積み重ねよ―― 

行けば行くほど・・・ 
動けば動くほど・・・  
一つの○い出逢いの場に 
日向はあふれ 

あなたはそこで{ルビ ....
細長いのっぽビルの 
1階から23階へ 
光のエレベーターは昇りゆく 

23階から1階へ 
光のエレベーターは下りゆく 

祈りとは 
両手をそっと重ね 
天と地をつなぐ交信である ....
背筋を伸ばしたスタンドの顔が 
ジイドの古書の開いた頁を照らす時 
長い間つけていない 
TV画面に映る自分の顔と、目があった 
暗闇の航路を照らすあの灯台に
あなたは、詩人を観るだろう。 
老人ホームで百歳のお婆さんが旅立ちました 
「若い頃桜島が噴火してねぇ・・・ 
 首輪をつながれた愛犬の悲鳴が 
 今も聴こえるんだよ・・・   」 
遠い昔に世を去っても 
お婆さんの心に ....
年の瀬の上野公園は 
家族づれの人々で賑わい 
僕等は3人で 
枯れた葦の間に煌く 
不忍池の周囲を歩いた 

ゆくあてもないような僕等の歩みは 
本郷へと進み 
詩友Fの朗らかな顔に ....
今迄の僕は 
どれほど多くのまなざしに
みつめられてきただろう   
どれほど多くの手に 
支えられてきただろう 

今、僕は、ようやく 
幹の内側からいのちの歓びを{ルビ呻=うめ}くよ ....
江戸の町を外れた木々の緑の林道を 
刀一本脇に差し 
首輪を繋いだ愛犬つれて 
{ルビ悠々=ゆうゆう}と風を切り 
西郷どんは、ずんずん歩み往く 

勝海舟の願いを聞いて 
江戸の戦火を ....
帰りの電車に揺られながら、頁を開いた 
一冊の本の中にいるドストエフスキーさんが 
(人生は絶望だ・・・)と語ったところで 
僕はぱたん、と本を閉じて、目を瞑る 

物語に描かれた父と幼子を ....
晩飯のおかずを箸で摘み 
炒めたもやしを、食っていた。 

一本の長く萎びたもやしが 
「風」という文字になり 
誰かの顔のように 
皿にへばりついて、僕を見た。  

もしかしたら  ....
家に帰って、腰を下ろし 
一才の周をだっこすれば 
小さいいのちの温もりが 
このお腹にあったかい 

この両手を 
短い足の膝下に組んで 
右に左に、ゆさり、ゆさり 

パパは君の ....
私は花を、あなたに渡す 
あなたの瞳に映る花 
私の瞳に映る花 
ふたりの間にひらく、喜びの花 
戦中・戦後を生き抜いた 
ある詩人が世を去った後 
長い足跡のつらなりと 
ひとすじの道の傍らに 
彼が種を蒔いていった花々が開き始める 

今迄の僕は 
別の場所で夢を求めていたが 
 ....
窓のすき間から風は吹き 
グラスの筒に包まれた 
ぼやけた蝋燭の灯は 
世を去ったあなたの魂となり
赤々と燃えています 

なにかを囁いているように―
あの日の歌の調べのように―
躍動 ....
フロントガラスの前に広がる 
いちめんの里芋畑で大きい葉群が 
わらわら踊ってる 

ここは、公園の駐車場。 
ベートーヴェンの協奏曲が 
カーラジオから 
生真面目で軽快なヴァイオリン ....
伊豆高原駅から 
赤沢へとバスに乗り 
日帰り温泉館の4階へと上り 
露天風呂に身を沈めた 
目の前は、いちめんの太平洋 

(あ、雲が崩れて金の鳥に・・・) 
そう思った次の瞬間 
 ....
太陽 
月 
仏陀 
神 

(それらを含んだ風のしらべよ) 

わたしが昇ればあなたは昇り 
わたしが降りればあなたは降りる 
わたしが歩めばあなたは歩み 
わたしが止まればあな ....
横浜市戸塚区の伊太利亜料理屋で
{ルビ葡萄酒=ぶどうしゅ}を一飲みした後、トイレに入る 

  * 

薄明かりの狭い空間で 
{ルビ蔦=つた}の彫刻のからまる壁に凭れ 
鏡に映る 
 ....
早朝の散歩で 
ふと、こちらに合図した 
草の露に宿るひと粒の太陽 

それがこころの鏡なら 
一体どんな思いを
反射して 
私は歩いてゆくだろう―― 
今日も少女は古着姿で 
脇に小さい黒板を抱え 
貧しい{ルビ童子=わらべ}等の集う学校へ続く 
土の道をゆくだろう 

今年も一年、この黒板に 
どれほど白いチョークの文字が 
書かれて ....
なけなしの金を 
銀行ATMから下ろして 
伊東への旅に出たら 
財布も口座も 
すっからぴんになってしまった 

安月給から食費だけは 
嫁さんにあずけているが 
幼い息子と3人で  ....
芦沢 恵さんの服部 剛さんおすすめリスト(192)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
蟻の心_- 服部 剛自由詩6*13-3-2
道化師の耶蘇_- 服部 剛自由詩113-3-2
ある哲学者との対話_- 服部 剛自由詩2*13-3-2
旅人の本_- 服部 剛自由詩6*13-2-20
なめくじ親父_- 服部 剛自由詩14+*13-2-19
紙のスクリーンー私の詩ー_- 服部 剛自由詩413-2-19
柴田トヨさんの声__- 服部 剛自由詩6*13-2-14
日捲りカレンダー- 服部 剛自由詩3*13-2-14
老婆の麺麭- 服部 剛自由詩8*13-2-12
木のひと- 服部 剛自由詩5*13-2-8
ヨコハマの青い夜景ー献杯の詩ー_- 服部 剛自由詩4*13-2-6
自画像_- 服部 剛自由詩5*13-2-6
灯台ノ道_- 服部 剛自由詩6*13-2-6
愛犬の声_- 服部 剛自由詩8*13-1-28
卵の音_- 服部 剛自由詩6*13-1-25
いのちの歓び_- 服部 剛自由詩8*13-1-21
西郷どんは今日も往く_- 服部 剛自由詩6*13-1-17
天使の声_- 服部 剛自由詩10*13-1-14
風の顔_- 服部 剛自由詩6*13-1-13
あたらしい歌_- 服部 剛自由詩7*13-1-3
日々の花束_- 服部 剛自由詩3*13-1-3
夢の署名_- 服部 剛自由詩10*13-1-1
聖夜_- 服部 剛自由詩312-12-31
みどりの言葉_- 服部 剛自由詩612-12-31
日々の旅人_- 服部 剛自由詩512-12-29
誰かの足跡_- 服部 剛自由詩412-12-18
ゲエテの瞳_- 服部 剛自由詩312-12-16
草の露- 服部 剛自由詩812-12-15
道_- 服部 剛自由詩212-12-15
からっぽの旅__- 服部 剛自由詩712-12-5

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 
すべてのおすすめを表示する
推薦者と被推薦者を反転する