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丘の上の工場から
午后のサイレンが聞こえて来る
いつもそれを待ち侘びていた君
遠くまで行きたくて飛び乗った電車
あれは過去のこと
海を見ていた
太陽は焼け付くようだった?
白 ....
目を閉じて。
両腕を伸ばして。
手が重くなる。
足が重くなる。
閉ざしたまなうらに、
アール・デコ調の紋様。
手が動かなくなる。
足が動かなくなる。
さあ、おいで、夢魔よ、
....
桜
錯乱
咲き乱れ
風に舞う舞う
花吹雪
狂おしく舞え
狂おしく散れ
桜
錯乱
咲き乱れ
闇まで染めよ
夜 ....
断崖のふちに
ぽつんと一つ置かれた白いベッドで
僕は目ざめた
僕の上には
途轍もなく青く明るい空だけが
広がっていた
僕はベッドの上に坐ったまま
何も考えられずにいた
すると
空 ....
それは
あなたの優しさ
ですか
あなたを
忘れないための
痛み
静寂の月夜
わたしは
雪虫となり
{ルビ羊歯=シダ}の葉に滴る
朝露に溺死する
時間という
....
病院の長い待合い廊下に坐って
考えている
私の気はたしかなのかと
時々 呼び出しに応じて
いくつかの個室のどれかへと
人が 入ってゆく
そしてやがてまた出てくる
入ったまま
出てこない ....
おでかけする前に ネコのように
顔をこする 母さん、
世界が恋しいの 左側と右側がばらばら
なのはなぜ
ココアを飲んで なだめる左側
ごつごつ頭 招き猫のパンチが痛ッ
三月の空に誘われて
....
食べたい
これ
食べたい
これ
殺して
食べたい
これ
私だけのものにしたい
お気に入りのネイルも爪を噛むことで剥げた
冷たい指先を満たすものもなく
今日の夕刻に死を意識し始める
一方的な負荷に耐えられるだけの強さを
持ち合わせているなら
またわたくしの手を掴んで
....
時折、T字路に立った時に感じる小さな不安
右へ行きたいのか
左へ行きたいのか
そんな些細なことにまで戸惑ってしまう
臆病な自分
雨が
降り続いているので
踏み出すことの出来ないこ ....
私は不幸だわとあなたは呟く
夕焼けが美しかった窓からの風景も
今はただ真っ暗な闇が広がるだけ
不幸だなんて感じた事がないと僕は言う
闇の中に灯台の灯りだけがまたたく
あれは誰かの道標に ....
許したと思っていたことを
許せてなかった
忘れてしまったと思っていたのに
忘れられなかった
台所で
風呂で
ふっとひとりになる
重ねてゆく日々の小さな落とし穴のような ....
蓮の花青白く燃える
微かな灯りを道標に
ここまで辿り着いたのだ
背骨を軋ませる寒気に
追い立てられるように
ここまで逃げてきたのだ
皮膚の下で
おれの真っ白な髑髏が
刻々と輝きを増して ....
僕が君の恋人でなくなって
君からおとうさんと呼ばれるようになってもうどれぐらいたつだろうか
人並みに恋をして結婚した僕たちは
人並みに親になって家庭というものを築いている
僕は君を昔のように呼 ....
なにか?
とあまりにも
涼し気に微笑む君
のせいで
僕はとりあえず
牛乳飲んで
落ち着こうと思う
確か僕は
君の肩に手をまわして
さりげない愛情と
そこからなにげなく続 ....
君にプリズムをかざして
分光する
白い壁に映るスペクトラムは
すべての色がほのかになやましく青らんで
僕をいつまでも
見つめさせている
ほんとうのこころは
ここにはないので
ありきたりに抱き合って
みました
ありきたりのやわらかさ
ありきたりのこえ
恋に
順序はないはずなのに
ここは
ゴールなのですか
....
白く光る雲が流れていく冬空。
夕暮れの橙色が水色と混じり合って、それは綺麗。
烏の群れが西の空へ向かって飛んでいきます。
帰る場所があるの、良いね。
冬の短い日が暮れるのは、何よりも寂しい ....
屋根裏部屋には
消しゴムの標本があるって
かりふぉるにあおじさんが
声高々に自慢してた
その中に
砂消しもあるんやろかと
梯子に右手をかけると
親指がちょとだけ(約1cm)
....
灰色の冬の木々に
降り積もる真白い雪
夏の間緑に生い茂っていたなんて
想像も出来ないくらいに
冬の木々には色がない
夏に冬の寒さのことは考えない
しかしそれは根底で
あたしを ....
もうそろそろ夢から醒める頃合でしょう。
あなたを包むその殻は
いつまでも守護し続けられるほど強固じゃない。
……判っているのでしょう?
誰もが自分の足で立って
そうして歩いていかなけ ....
とっぷりとくれる
きょうのよるはきまえがいい
なのにぼくはねむれない
るるる と
{引用=初恋の頃の歌が聞こえてきました
耳を澄ますつもりはないのですが
それはもう
....
夜空の端で光る
冬のあいだ
君はシリウスの子供になる
かじかんだ手をポケットに入れて
足許だけを見て歩く
冬は嫌い
冬は嫌いだよ、寒いからさ
呟きながら
夏の海や{ルビ茅蜩 ....
今日久しぶりに
君の夢を見たよ
もう此処にはいない君
とても滑らかなその声も
少し意地悪なその瞳も
僕はまだ 憶えている
僕たちは何処から来て
何処へ行くんだろう
命の ....
まさるの家で山羊汁がある
と聞いて出かけた
子供のうちは山羊の脂に中るということで
その場に呼ばれることはない
ようやく二十歳を過ぎたので
山羊汁が食べられるのである
さてさて ....
君の手を握ろうとしたのは
風の冷たさの所為ではなく
白い指先がただ心許なくて
僕の傍に繋ぎ止めなくては
消えてしまいそうだからだ
たぶんそれは愛ではなくて
同情 ....
「病院」と云う単語を口にすると、決まってあたしの脳裏には秋の終わりの桜並木が過る。枯れた葉が風に巻き上げられ、足を進める度にかさかさと乾いた音を発て、粉々に散った。手が冷たくて、外套のポケットに入れて ....
ビタミンが不足しているのは百科事典に住んでいる僕の妹
い、いえ、祖父だっただろうか、毎晩旅をするんです
一人残される僕の血糖値は急激に低下する
い、い、いいえ、血糖値が低下しているのは叔 ....
夜の隙間に入り込んで
月ももう僕を見つけられない
哀しみは満ち潮みたい
失くなることはないから
今日も僕は 独りで夢をみる
冷たい水に両手を浸して呟く
「みんないなくなればいいのに ....
立ち尽くす
波のしずくは
指からこぼれて
あの人の命
永い別れを
私に告げる
見えなかった
思い出
聞こえなかった
風
けれど消えない
指先の感覚
窓の外
首をかしげ ....
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