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夜の蜘蛛を生かして
償われた指腹のよどみに
吹き溜まる星々は研削され
なめらかな肩口を晒し合いながら
目まぐるしい渦中からの
放逐を同意してゆく

霧散する、フラグメント
融点の狭間で ....
海のない手のひらの庭
土を踏む三脚の椅子
雪、重なる雪、そのあいだに
燃えるものがあるなら

空白を焚きつける
指先の罪悪を冷たい鍵にする
小さな灯りに目を細める
たったふたつの隠微な ....
柔らかい楕円の香り
肌を透かせる真白な木綿
多角形の雨おとにふれた
水彩のゆびさきは筆跡を整え
ゆるやかに乱され
空白に孕んだ風を
あたたかい命と錯覚する

あかい器官をひとつ
平原 ....
ふるさとが肺を患い
転移する酩酊は
葉桜の色をねぶり
胃壁を食む、蛇が
赤い絵の具を射精する
その、ぬけがら、父の唾液
残滓に海の香り
帆を張る空に
幼い、空腹を晒す

鉄橋、どこ ....
天国という名の池で
死を釣り上げる人がいる
町の猫たちは真夜中に駈けだし
虹色に輝く死を銜えるために
釣り人の周りに群がっている

僕の猫は平成十四年、夏
朝ごはんを残して
そのまま帰 ....
辺りは静かで仄暗い
細かな気泡としなやかな水草だけが
照明の光を蓄えて揺れ動く
水槽の中を泳ぐアロワナは
夏の夜行列車に似ている

いつまでも眠れず、読書も捗らなかった
車窓に触れたゆび ....
弟が、壁に短い線を引いている。
それをくりかえしている。
何を書いているの、と訊ねる。
雨、と答える。
わたしは傘をさす。

テレビは激しい雨音。
大雨、洪水、注意報。
誰かが言った。 ....
夜中にそっと冷蔵庫を閉める
あたまのおくで
クリプトン球のあかりが消滅する
少しだけ、息がとまる

コーラ瓶の栓を抜く
ひとの内側は暗くて渇きやすい
炭酸のおとがきめ細やかに変容してゆく ....
草を踏む
表紙をひらく
頁をめくる

一行目に木洩れ日
天使が羽を
休めている

睫毛が落ちる
ふっ、と息を
ふきかける

濡れたたてがみ
あたたかい
蹄の音
まだ、息は ....
去年の夏、シャボン玉を買った。
きいろい麦わら帽をかぶった
ピンク色の象のかたちをした容器。
旅先の雑貨屋で見つけて
近くの河原であそぼうと思ったけれど
その日は、あいにくの雨で
バッグに ....
靴、ばかりを詰め込んだ、大きなキャリーバッグ。そこにひだりて
を置いて、まくら代わりに頬をのせる。ベンチに腰をかけながら、
指と、指のあいだを見つめている。鼻孔の奥に、巣食ったあくびを
殺せなか ....
子どもは揺りかごのなか、ぐっすり。と水になる。
笹船のように耳だけをうかべて、聴いているのは、さざ波の音。
僕は、耳を手のひらで掬いあげ、扉を押し、ひらく。
足下には砂、埋もれた階段、月明かり、 ....
冬のショーウィンドウ
ドレスを脱ぎ捨てたトルソ
首の断面
剥き出しの木肌に上塗りされた塗料が
照明の光を湛えている

展示替えの前夜
殺風景なガラスの舞台
控えめなネックレスだけを身に ....
時計の針が熱を出し
飴のように変形する文字盤
使い古された木製の乳母車が
らせん階段をひとりでに
転がり落ちてゆく

それを追いかけ飛び跳ねる
古びたフランス人形
音の鳴らないトイピア ....
叡知の海で僕は空腹だった
水平線にうわ唇をあてて
南極を氷菓子のように食らった

腹を下った一隻の客船が
座礁して人々を吐きだした
光のとどかぬ海底に
沈んだ宝飾が失明した

叡知の ....
素顔を布で覆った、恋人たち
鳥には雲がうかび、空が飛んでいる、鳥
これはパイプではない、とパイプを描く、イメージの裏切り
それらに題名を与えた、マグリットの顔は
青い果実に、隠されている

 ....
春へ
迷いこんだ赤とんぼに
音信を宛てる
なんとなく
くち淋しくて
見知らぬ子どもの
懐かしい
薄荷の味する
はなうたをぬすむ
ぐらつく
奥歯のように
母音を舌で
ころがしてい ....
花瓶から
あふれた水の
殆どは書き記されて

干上がった
窓辺に立てられた
イーゼル

幼児に
水で手を
洗われるような

3月に画布を
はる
ただのみきやさんのsampleさんおすすめリスト(18)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
害虫- sample自由詩414-3-15
星座的布置- sample自由詩514-3-14
花茎- sample自由詩613-9-18
ぬけがら- sample自由詩513-9-7
あの猫の名前はマダナイっていうんだ、- sample自由詩7*13-6-15
図鑑に載らない動物- sample自由詩10*13-6-1
泥濘- sample自由詩713-4-4
コーラの泡が弾けてる- sample自由詩7*13-3-4
森を読む人- sample自由詩413-2-15
冬のシャボン玉- sample自由詩5*13-2-13
始発電車を待ちながら- sample自由詩212-12-18
音の城- sample自由詩512-12-7
樹木のセミヌード- sample自由詩5*12-12-6
時間と光- sample自由詩6*12-11-4
悪魔の悪書- sample自由詩2*12-10-31
(仮)- sample自由詩6*12-10-19
郷愁- sample自由詩412-9-5
3月- sample自由詩5*12-9-2

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