追憶の岸辺
たにい

今日を生きることに疲れた心を連れて行ってあげる
追憶の岸辺には様々な物が打ち寄せられている

陽に晒されて白く乾いた流木の傍らに
幼稚園に母が持たせてくれた馬車の模様の小さな青いお盆
好きな先生に持って行った裏庭で摘んだ白い百合の花

丸っこい小石を這い回る船虫の横に
授業中に消しゴムを刻んで作ったサイコロ

透明な青いガラス壜の中には
誰にも見せなかった初めての詩

砂を掘ると埋めていた苦い思い出が湧いてきた
すぐ埋め直してお日様の匂いのする白い砂を掛ける
そして還って行こう すべてを忘れさせてくれる眠りのなかに


自由詩 追憶の岸辺 Copyright たにい 2012-01-05 14:44:34
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