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子供が
空を飛んでいた
いや
飛んでいたというよりは
屋根から滑空していた
大きなカマキリに似た生き物を背中に乗せ

そこから記憶はなく、始まりは窓を開けていた

家庭用プリンタから ....
カエルばかり鳴く夜にみた夢のこと
口から泡をふきながら
肝心の言葉が出てこない
夢日記のページは埋まっても
あとで見返せば
何が書いてあるのかわからない
単語と単語の間を繋ぐ接着剤はピンク ....
余計な荷物をしまおうとして目に入る
押入れの奥に置かれた段ボール
ふた箱分のCDを
買った順にはじめから
開封して聴きたくなっている
何を天秤に乗せたらいいのだろう
外にはもう出たくないの ....
二日ほど前
顔のあたりに穴が空いた
穴というべきかなんなのか
顔があるべきところに
冷たい空気がただよっている
加湿器から出たほわほわが
渦をまいてとどまっているようだ

きっとこれは ....
もうすぐ夜が明ける
誰かを励ますわけでもなく
体温がかえってくる
指の先を動かそうとして
ニカラグア
という響きが好きで
土地の名前は知っているけれど
主食が何かも
固有の生き ....
池のほとりにすわって
スケッチブックを片手に
タガメを描いている

頭上には角ばった泥の月が
まだ明るい空に浮かんで
輝きだす頃を待ちわびている

おぼろげな深い場所
夏休みに行った ....
頭痛薬がきれかけていて
何かうれしい事件があったとしても
あまりおおきくはしゃげない日々が続いている
バッグインバッグに手を入れて
錠剤が指にあたる感触を確かめる
その感触だけで
すこ ....
ごめんなさいを言うように
雨粒がボンネットの上にたどりつく
別に謝る必要はないよ
アーティスト名を手繰りながら
探す曲がみつからない
もしかしたら
入れ忘れたのかもしれない

カフ ....
キツネかなあ
空からふる
陽射しと水滴に
わたしと傘は迷っていた
せっかくの予報を
信用しないで
折りたたみをバッグに
放り込んでいてよかった

シンボルの前で足踏みする
こどもと ....
アラームは既に
スヌーズたぶん二回目

をあけても
すべてあけられない
からだぜんたいが
ひとしくねむい

無理やり
上半身をおこし
腰をひねる
ひねる

ゆるいあたまで ....
午前四時
デスクライトに集まる仄明かりを
指でつまんでは
窓から捨てた
けれど
捨てても捨てても
それらは群がり
夜は徐々にまみれてしまう

冷えている
二度目の底で
私は起 ....
セミの上半身だけが
おちていました

体内に抱えていた
音は開放され
世界が
せかいのすべてが
共鳴室になったのです

ふるえるのは木々
波はゆらぎ
やがて雨を降らすでしょう
 ....
とおく とおく
はじまりのそらのふちに
宇宙船が
ひとつ

畳張りの
宇宙船の大広間に
ちゃぶ台が
ひとつ

とん、と
置かれた湯のみには
栄養補助用流動食B1-023(覚えて ....
駅を降りた時から
熟れた紙の匂いがしていた
一歩踏み出した時から
文字がバラけて押し寄せてきた
(ここは本の街です)

このあたり一帯が
巨大な書庫になっていて
その事実だけで
 ....
唸りをあげる牛蛙に
鈴虫が息を潜めて
全休符を待っている

扇子を握りしめると
じわり
汗が手にかえってきて

適当に舗装された
あぜ道の輪郭がゆれて
溶け始めている

瞬間、 ....
ミルクティーに羽虫が浮いて
弱々しく回転するあなたを
私は忌々しく思ったし
終わりを迎えたあなたに
ほんの小さな哀れみもうまれた

八割飲まずに諦めて
シンクに流しに行く 夜中

 ....
ぱし

ぺし

ぴちゃ


筆の先にたっぷりと
絵の素をつけて
カンバスに投げつける

あか

あお



だったもの


色を混ぜれば混ぜるほど
0に ....
頬が冷たい そして
固いものに触れている
頬だけが冷たいのかと思っていたら
なんだか全身が冷たい 濡れている

雨だ

雨が降っていたんだ

霞んでいた目がようやく
輪郭を取り戻し ....
道路の真ん中で寝転ぶ事に
こんなに開放感があるなんて
知らなかったよ

何かを見たり見なかったりで
ぼうっとしてる私を
見知らぬ誰かが続々とまたいでいく


この歩行者天国は一方 ....
フォーク
秒針
物干し竿

ありとあらゆる突起物が


ガラス片
鍾乳石

私の胸の辺りから

ノコギリ
菜箸
コンパス

放射状に突き出している

三角定規
 ....
目の前を紋白蝶がとぶ
春の風に負けそうで
それでも戦いながら


桜はもう、ハザクラにかわりました

あなたは言った

知っている

だから、もうすぐ雨がくるんだ


 ....
時間はスロウモーションのようにゆるく
  春の陽射しは暖かく降り注いでいた
  用事もなくただ布団を転がりながら
一人で過ごしている寂しさを紛らわせて


  何かに気付いたように ....
ただのみきやさんのSeiaさんおすすめリスト(22)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
重力に影響を及ぼすほど空気の成分が違う星- Seia自由詩319-12-23
夢から覚めたカエル- Seia自由詩219-6-29
箱の中の箱- Seia自由詩418-6-24
冷たい穴- Seia自由詩318-3-18
こえをきかせて- Seia自由詩117-7-16
泥の月- Seia自由詩117-7-10
ストーン- Seia自由詩216-10-28
かもしれない- Seia自由詩316-6-29
巡る天体- Seia自由詩116-6-6
靴下をはくまで- Seia自由詩416-2-29
明け方の事故- Seia自由詩415-9-14
ひびがはいるまえに- Seia自由詩415-8-25
かべにみみあり- Seia自由詩114-7-22
本の街へ- Seia自由詩313-12-23
スターマイン- Seia自由詩613-8-25
開花宣言- Seia自由詩213-3-24
まぜるな危険- Seia自由詩312-11-29
冷たい銃弾- Seia自由詩112-11-27
歩行者天国- Seia自由詩312-9-30
フォーク- Seia自由詩612-7-30
紋白- Seia自由詩412-4-25
天駆ける- Seia自由詩512-2-29

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