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足首が凍りつくほどの寒さを堪えて
桜の花びらを踏み付け
横殴りの雨の中を
傘を握りしめて前へ進む

灰色の空は遠く
希望を掻き消し
さらに冷たい風が吹き荒ぶ
嗚咽を押し殺して

目 ....
空を見上げる
雨粒が降りてくる
一直線に堕ちてくる
粒の一つをただ見つめる
目的などない
経過する時間の長さと
静寂を感じられる
この手の平に堕ちてくる
もたらされた潤いを
握りしめ ....
高層ビルの展望室が好きなのは
地上に降り立ち
展望室を見上げ
あんなにも高い所にいたのだと
あそこから美しい景色を眺めたのだと
余韻に浸ることができるからで
高い場所に居続けること自体は
 ....
ひとかじりしたリンゴは
あんまりにも酸っぱくて
思わず涙を流してしまった

大きくもうひとかじりしたのは
そうしないと
大きな声で泣き喚いてしまいそうだから

酸っぱいだなんて
ただ ....
数字に計られる気持ちが
こんなにもちっぽけでくだらない

若いとか
重いとか
少ないとか

だのに計れない
心とか
優しさとか
空気とか

言葉とか
涙とか
匂いとか

 ....
頭を空に向けて六十二度くらい傾けたまま
動けなくなってしまった

顎を前方に突き出したまま
後頭部が後ろに傾いたように
六十二度が保たれている

右足をもう少し前に出すと
バランスが良 ....
糸が風に舞う

白い糸が
青い空を背景に
風に流されている

その先を辿っていけるだろうか

糸を引いているのは誰だ
糸の先には誰がいるんだ

雨に打たれても
雷に撃たれても
 ....
胸騒ぎがする

良くない兆候を
期待している

満月が輝くのを
目が欲している

喉が渇くのを
待ちわびている

鏡を見ないように
冷たい水に触れないように
匂いの強い球根に ....
貧相な身体の中の
脆弱な心が
翼を拡げて飛び立とうとしている

行かせてしまって
いいのだろうか

なにもかもを解き放つためならば

趾でもて雁字搦めにして
身動き取れないようにす ....
探偵気取りで
僕を追い詰める君は
実に卑劣な手段で
その機知を利用する

もちろん君のじゃないさ
僕のだよ

この僕の狡猾さを
叡智を
企みを
ものの見事に横取りして
明るみに ....
背景は青い空
振りかざした銀の刃が
鈍く輝く

血飛沫が舞うことはなく
舌舐めずりする猫が忍び寄る
鳴き声を漏らしもせず

実に無様な冬の真昼
風が冷たく吹き荒ぶ
太陽の欠片は覗き ....
満たされた気持ちが
嘘のように流れて行く

真実など欲したことはないくせに

今日は今日
それでいい

どうせ
すべてが思うままにはならない


思いのままになることなど一つ ....
羽を広げた蝶は
破られるのを
待っている

決して触れることさえ
できないだろうと
綺羅びやかに見せつけて
できるものなら派手にやってみせろと
寸出のところまで思わせぶりに

そし ....
いつからだろう
やらなくてはならないことが
できていなくても気にならなくなったのは

宿題や持ち物を
絶対に忘れることなどなかった
あれはもう遠い昔

いい加減にしても誰にも怒られない ....
堕ちてゆく
崖の上から
海の底へと
一直線に
目を開けていられるくらい
速過ぎることなく
頬を逆撫でる風が心地良く
恐怖心もなく
ただ真っ直ぐに堕ちてゆく
理由は分からないけれど
 ....
お月様が燃えている

先端を齧った苺から
液体が滴るように

金魚の尾鰭がゆらりと
鉢の中で弧を描く
血を垂れ流しているかのように

サクランボウに鷹の爪
カーネーションに
情熱 ....
ふふふとほくそ笑んでみる
訳はない
意味もない
他人が見たらさぞ気持ちの悪いことだろう
楽しいこともなく
面白いことを思い出したのでもない
笑顔を浮かべてみたくなったのとも違うけれど
そ ....
髪の生え際から
肩へかけて滴る
汗の粒が止まらない

負けたくなくて
暑いという一言を
口にしないで
我慢している

ため息が出る
腕を掲げて
陽射しを避ける

熱の篭った空 ....
炎がゆらりと揺れるよに
この全身をうねらせる
千切れてしまえと
左の腕に右を重ね
頭上高くに掲げては
「の」の字を描いて
腰を振り振り
黒髪までも振りかざし
声を喘いで轟かせ
右足の ....
俯せで眠る無防備な背中が大きくて
つい頬ずりをしてしまった

爪を立てたくなる衝動を
必死に抑えてみた

喉から流れ出た撫で声は
自らにも気色悪く
化物のそれとさえ思われた

瞬き ....
燃える炎を眺めていると
この瞳が燃えてしまうのではないかと
そんなことを想像してしまう

目蓋に感じる炎の熱は
愛惜しく
覚めないで
消えないで
と願う

この目の中に
その炎を ....
愛くるしい笑顔を振りまいて
罪の意識の欠片もなく
多くの人を虜にする

愛苦しい想いを人の心に育み
自らは微塵も苦しむことなく
魅惑の眼差しを投げかける

愛狂おしいほどに
堕ちてゆ ....
吐き気がする
自らの言動に
目眩を覚える
間違っているのか
間違っていたのか
一体全体何故に
こんなことになってしまったのか
誰のせいだ
一体どうして

こんな質問を繰り返してもな ....
ごごお、ごごおう、
今宵もまた強く風が吹く

ごごお、ごごおう、
汚れた哀しみのコバルトの闇に
刃を剥く三日月さえも

ごごう、ごごおう、
吹き飛ばしてしまえ
強い風に飛ばされそうになると
いっそのこと飛ばされてしまえと思うのに
足は踏ん張ってしまう

気持ちはここにあらず
空高く舞い上がっているのに
足は踏ん張ってしまう

意気地なし
自 ....
内側
蟋蟀みたいな細長い脚で
かりかりと
引っかかれている
そんな感じ
続く
喉の痛み

また咳にうなされるのかと
眠ることに恐怖を覚える

そしてまた疼く
喉の内側
ただのみきやさんの坂本瞳子さんおすすめリスト(56)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
いと寒き春の夜に- 坂本瞳子自由詩5*17-4-11
雨粒ひとつ- 坂本瞳子自由詩3*17-4-9
高層ビルの展望室- 坂本瞳子自由詩1*17-4-7
リンゴなみだ- 坂本瞳子自由詩2*17-4-3
数字だらけ- 坂本瞳子自由詩3*17-3-10
逃すまじ- 坂本瞳子自由詩2*17-3-8
糸瓜の皮にあらず- 坂本瞳子自由詩3*17-3-6
胃の中の蝶々- 坂本瞳子自由詩1*17-2-27
時は来たれり- 坂本瞳子自由詩2*17-2-25
恍惚二死ス- 坂本瞳子自由詩2*17-1-29
冬景色- 坂本瞳子自由詩1*16-12-29
ヨマイゴト- 坂本瞳子自由詩4*16-12-20
蝶の舞上がる- 坂本瞳子自由詩2*16-12-13
スパイシー- 坂本瞳子自由詩2*16-10-14
フォーリング- 坂本瞳子自由詩2*16-10-8
le_fou_rouge_〜赤の狂気- 坂本瞳子自由詩3*16-10-3
ふふふ- 坂本瞳子自由詩2*16-9-13
失神- 坂本瞳子自由詩3*16-8-1
いざない- 坂本瞳子自由詩1*16-7-30
飼い猫- 坂本瞳子自由詩2*16-7-29
巡りて- 坂本瞳子自由詩1*16-7-23
ロリータ- 坂本瞳子自由詩1*16-7-20
願い- 坂本瞳子自由詩1*16-6-14
吹き飛ばせ- 坂本瞳子自由詩2*16-5-4
今日もまた- 坂本瞳子自由詩4*16-4-30
ほんのり赤い- 坂本瞳子自由詩3*16-4-29

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