蝶の舞上がる
坂本瞳子

羽を広げた蝶は
破られるのを
待っている

決して触れることさえ
できないだろうと
綺羅びやかに見せつけて
できるものなら派手にやってみせろと
寸出のところまで思わせぶりに

そして粉を振り撒いて
飛び去っていく
その目から視覚を奪って
飛び去っていく

叶わぬときには
朽ちる覚悟ができている
傲慢な女王様は
どんなこともやってのける
身を裂かれようと
悲鳴の一つを上げもせずに


自由詩 蝶の舞上がる Copyright 坂本瞳子 2016-12-13 21:58:18
notebook Home 戻る