すべてのおすすめ
今年も春が来て
桜を見る
この桜は
いつか誰かと見た桜
私たち人の世を越えて
木はここにあり続ける
子供はやがて大人に
大人がやがて老人になっても
いつもこの美しい花び ....
しんと凍る大気の中
思わず足を止めた
鮮やかな赤い実は
雪ウサギの目
誰が作ったのだろう
儚げで美しいものだな
いつか溶けることも知らずに
可愛らしく私を見つめている
足の爪に
塗っておいた海が
夏のどこかへちぎれて消えた
地図の上をなぞる指が
コーヒーの匂いをたどって
最果ての島に着く
ふと顔を上げれば
見慣れた街並み
寝過ごした朝のよ ....
愚痴を言う人を
心配はしない
吐き出してまわりを不快にしてでも
自分は楽になりたいという図々しさがある
むしろ心配なのは
愚痴を言わずに耐えてる人なんだ
邪悪な自分が
恐ろしい
闇に埋もれた暮らしがイヤで
太陽の下に
憧れたのに
普通がいいって
普通を選び
普通だなって がっかりしてる
一等星か
人工衛星か
わからないから
嫌なんだ
この時代は
虚像が眩しすぎて
たどり着きたい未来を間違える
俺達は
まるで
月に向かって飛ぶ
命知らずの虫みたい
マッチを擦った
においが好き
懐かしいから
クリスマスのロウソク
ストーブ
父さんの煙草
子供の頃に
安心した匂いだ
換気扇がぶっ壊れて
機関車みたいな音がする
台所であなたと目を合わせたら
困ったような笑顔がどこかへ旅立つ
暮らした年月を
思い出させるすべての劣化
年をとったわね
夜
....
夕暮れの遊園地
ベンチに座って賑やかな景色を見ていると
走馬灯のように見えて
人生に終わりが来たのかと思う
でもそれはとても気楽で
気がつけば
いつかの自分が
ジェットコースターに乗 ....
祭りのあと
散らばったゴミを風がさらっていく
すぐ足元にある人の世の儚さ
喧騒の中で求める静寂
静寂の中で懐かしむ喧騒
記憶を巻き戻した時に
人の笑顔が次々と
万華鏡のように ....
飽きた
なんかいろいろ飽きた
ネットでつながるより
糸電話でつながりたい
いや違う
もう糸電話の糸すら切ってしまいたい
ケータイのゲームより
缶蹴りしたい
行き先のわからないバスに乗っ ....
子猫を抱いて
戸口にたって
海の幻を見おろしてから
しばらくして
冷めたコーヒーを飲む
帰らない旅人は
古本に栞を挟んだまま
彼女の人生から消えた
祈りって
なんだ。
どうやって祈る。
同じだ。
跪いても
酔いどれても
神には聞こえてる。
聞こえないのは
私のほうだ。
幾度となく語りかけるその返事を
私 ....
眠れない夜だったから
架空の国へ出かけた
王位継承
森の魔物
結界の霧雨
本を閉じると
外も
いつのまにか雨
この雨が結界なら
私も連れ去ってくれ
見わたす現実の
....
最強の日には
誰も私を
夢から起こせない
日常に起きるすべてが
嘘みたいに葬られて
私は夢から目覚めない
だれもかれもが魔法の産物で
そして私は気にしない
いいじゃ ....
雨なら外を見たくない
優しい人なら会いたくない
時に多すぎる感情を
いい香りの紅茶で飲み干して
心の中に吹く風は
ふうっと長い息にして吐く
なんでもない
なんでもないよ
....
西瓜の産地が
北上していく
夏が通り過ぎるのを
毎年スーパーで見かける
多分、今年最後の
西瓜を食べながら
高校野球の
決勝を見ていた
季節というのは
うまく出来ていて
....
いろんな感覚が錆びて
緩やかに死んでく
街に出れば疲れて
ヤキがまわった、なんて
ぼんやり思う
頭に魔法の欠片が残ってて
誰かに秘密を教えたくなるが
その呪文はおそらく
言 ....
君を守って
傷つく獣でありたい
愛されるかどうかなど
考えない獣でいたい
たまに毛並みをなでられ
一生愛を信じるような
たまに風に吹かれ
一生幸せ感じるような
自由で無 ....
銀色に光る水しぶき
小学校の
プールが見えた
陽炎の中に
まぶしく輝く森
まるで
他人事のような
暑さの記憶
いつまでも 耳の奥に
歓声がこだましていた
一体
何 ....
久しぶりに真夏に行った海
日焼けも化粧も忘れて
何もかもをさらけ出すように泳いだ
海育ちにとって
海自体が故郷だ
子供の頃から私を知り尽くす場所では
もう
名前すら必要ない
水にもぐれ ....
こがねの日が差す
金色の夕立は
さぞや美しい狐が嫁に行くのかと
思わず微笑む天気雨
夏は
今も昔も懐かしく
子供の頃と同じ空
うちわで扇ぐゆるやかな所作
遠い昔に見たしぐさ ....
許しは請わない
愛してないわけではなかった
だけど
許しを請うても許されない
愛がいつも
お前たちを包んだわけではなかった
届かない荷があって
時の河を越えていく
お前たち ....
1 2