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私は私という一人称
薔薇を噛んで唇を切る
何処へ失踪していたの
いつの間に帰ってきたの
夜空に輝く星になっていたというのなら
この夜をすべて闇で塗り潰してしまおう

聴こえてくる吐息は
 ....
育まれた大地は哀しみに暮れ
あなたの幸せを乞う、と
腐敗した果実を土葬にいだく

還れない連鎖がある
祝し祝される転生の輪を閉じ
静かに響く余韻の産声を預ける

生き写しの影が光となる ....
ひとりの部屋に
はらはらと蛾がさまよい込み
白い壁に逆さまの
ハート模様をこしらえる

こんな日は
蛾にさえ心を慰められるものだ

浮き沈む日は山の間に
虫の囀ずりは蜃気楼のごとく
 ....
水面を幾重にも抱きながら藻が囁く
流れは何をも見送るもの
躓くものも うつむくものも
嘲笑うものも 祈りのひたいも

魚が撥ねる
いま その尾が視とめた光の破片が
太陽の剥がれた抜殻とし ....
大気の継目
深い呼吸に上昇し
仰げば次元の小径 
真鍮の足跡

蟻となり纏った視野は日輪の槍に射貫かれ
せせらぎは大木に流れを受容される
私は硬直した椅子の背となり空間に浸る
それは賛 ....
ひとひらの葉に穴を透かして
虫は陽をあおぐ
表皮を緑に染めるため、
いいえ
葉を愛するゆえに、彼はひとひらを枯らすのです

あなたは私を幼いと言う
一足一足がまるで驚愕だと言う
あなた ....
ひとつぶの光を追う
求められた大きな聖杯が
冷えた水蒸気をまとう
あらゆる渇きに喉が浸せるように

切り裂かれた流星は象徴を保ったまま幾片の塵となり降り注ぐこの夕闇に
君は息をひそめて自身 ....
引き裂かれた純白は紡いだ秘史
振り向く斜陽は
嘆きの夜を引き上げる
むせぶ人の片頬の躓きを藍色に包み抱いて

腐臭の眼に沈む夜
鈍刀は胎盤を貫き
血の海は溶岩流となって皮膚を焼いた
絶 ....
山際に故郷を茂らせて
霧立つ河は唱和する
悠久の径を手引くように
水面には明かりの灯った小さな神輿が流れ
その一つ一つに幼子が蹲っている
名付けられた世界を知らず
生誕の由縁も語れぬまま ....
脳の誤作動だったのだ
満月がこんなにも喝采されるのは
月は暦を変えられないことの杭を打ち込まれているかのようで
好きになれなかった

あなたの中に住まう狩人は
おぼろげな兎の陰に矢を放 ....
「その炎は陰影でしかない」
そう言って私の指先を吹き消した
あなたこそが、明かりを灯したというのに
たおやかさは無機の温もりを織り上げて
巻糸は摩擦熱を怯えて逃げ惑う

潮流の回遊に永劫の ....
耳を近づけて寄り添おうとするあなたの
頬に触れることは赦されない
私の醜さは
あなたの前では祝福となる
強風の吹きすさぶ耳の中では
秘匿こそが美徳である筈なのに
あなたは一枚一枚
そっ ....
暁を知らせる天地
遊ぶ鬼火をくゆらせ
終末の起源を幾度となく反芻する

咀嚼された付加価値は時として
勇猛たる鷹の回遊する軸を吟じ
成長のとどろき 不変の河 
木の芽をついばみ小枝へと飛 ....
蛹の中で身じろぎする幼生の
息遣いほどの微雨
清流に屹立する山岳の岩は
主たる寡黙な黙想に耽り
棲みつく生物たちの呼吸を内包する

母を疎う駄々としてか
広野に下りた者は口々に囁く
懐 ....
垂直な疑問符を諳んじる水晶体に
「お前は誰か」と問われれば
動揺はあらわな宣誓を開示する
ありふれた病名さえ二重傍線に埋もれ
白いハンカチで覆われれば
ありふれた終末期を万年筆が叩く
その ....
{ルビ鳶=とんび}が鳴く
空の遠心力を中和した
深い谷で

静けさは声を出すことができない
涙のこぼれ落ちる音
静止衛星の摩擦音

「だから」と黙すあなたの終止符は
どんな孤独 ....
夜明けの群青の空に
透明な風の蛇がうごめいていて
脊椎に貫かれた腹でゆっくりと気流を動かしている

白んだ月は皮膚を通過し波状に広がる光を手放す
朝を迎える前の消印のように
反復ゆえの忘却 ....
虹色のセキレイが飛ぶのは
深夜だけと決まっている
この街は朝が早過ぎて
人々は象形文字を象るように雑踏を行き交い
必要があれば空を見上げる
雨垂れが首筋を打ったとか
紫外線予防にぬかりはな ....
宙に浮かんだ多面体の器を
銀河の零した蒸留水が満たしている
捧げる願いは光線となり壁面を通過する
その中で胎児のようにうずくまり
あらゆる業と宿命を反芻したかった

見上げる夜空に散らばる ....
宇宙の底から重力が持ち上がる
月は半身の影武者
その肩が抱く光を受けて
私達は夜の深淵を歩くことが出来る
亀裂を伴った果実は秘匿を香らせ
罪の熟成を誘う

勝ち得た絆は
染まらない無垢 ....
土中を這い回る魚にように
生への違和を拭えずに
代替の作法は理由も示さず月と太陽の間を追い巡る
成就することこそが必要だとは言われぬが
影法師のような慈悲が
朧げな輪郭を保って半身の羅針盤を ....
人の営みの狭間を縫って
悠久の経を信条とした河に
明かりの灯った小さな神輿が流れ
そのひとつひとつに
幼子が蹲っている
世界の何たるかを知らず
それでこそそべてを悟ったような面持ちで
も ....
クリスタルの薄い壁が
行く先を果てしなく延長させる
感情を腹に宿した目のない純白の生き物が
吐息と共にあらゆる喜怒哀楽を吐き出すから
辺りには雪のように言葉が舞い
その中に、かつての恋人に ....
あなたの表情が澄み渡るような青天から
薄暮れの黄色へと変遷する様を
手の平から零れ落ちる砂を見るような非力さで見届け
伏せた瞼に抱き留めていた

もし心臓の代わりに
胸の内に地球が瞬いてい ....
透明な柵の中を回り続ける鼠には
幻覚的な麻酔の恍惚が必要
生態系を逸脱した個体を繋ぐ夢は
遥かなる進化の虹を跨ぐのだろうか

水を与えれば開く鑑賞物のように
出窓に愛でられること自体が存在 ....
高く 高く 
昇っていく
あなたが光体であるほどに
私は透過する重力となろう
相容れない時間軸が
現在(いま)ここで触れ合うなら
蜥蜴は月に首をもたげ
大地を揺らす露草はその皮膚を潤 ....
球体は弾けた
その飛散した一粒一粒の種子が
時代をあまねく代弁するかのように
ある方向へと向かって流れ出す

思い出して欲しい
白い腕が守ろうとしていたのは何だったのか
幸運の女神は目を ....
ひとつの微笑みを基点として
暗喩の肖像をなぞるように
閉じた眼窩に灯す

瞬きをするより速く
私はあなたの核心に吸い込まれていった
すべての史生の機軸を発火前に戻してしまうことを
あなた ....
かなしい雨
細糸の雫を見つめる双生の水晶体
いつか止むのだろうか
あの鈴の音が空へ駆け上がったなら
乾きは喉に集約され
無上の必然を照らし出す
許されること その贖罪を見据えなければ
無 ....
惜しむほどには熟れていなかった
玉虫色の果実は真空の夏に閉じ込められている
暗い闇を掘り進めた結果が
闇そのものに対する妥協
肩に置かれた白骨のカルマを
慰めに思う程 足場を失っていた

 ....
ただのみきやさんの由木名緒美さんおすすめリスト(55)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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