すべてのおすすめ
海岸には 誰もいません
本が落ちていました
文字も絵も無く
ただ幾重にも
波のかたちに濡れていました
銀河は
人々のなかに散ってしまいました
姉は最初からいません ....
空洞が鳴る
鏡の道を
空洞がゆく
光と遊び
冬を呑む子
鱗へ 水へ
蒼をこぼし
葉を追いながら
双子のけだもの
銀を知らず
冬を知らず
....
すべての水の凶兆に立ち
濡れた緑を見つづけている
静かな悪魔が建てた街
どこまでが幻か
袋の底の底をまさぐる
鳥のような 砂のような
瞳が沈み 昇る真下 ....
あなたの肌に聞こえるものが
他の何処にも聞こえぬという
蝕のあとには何も無くなり
皆あなたの肌を聴きたがる
カーニバル
雨の針
グライダー
嘆いても嘆いてもはじま ....
午後を夜に変える光を
首にまぶして遊んでいる
声の無い鳥たち
枝のなかのはばたき
土に臥せるほどかがやく花
枯れ野を歩む枯れ野の足音
砂と光が
空をなぞり 花 ....