灯へ まどろみへ
木立 悟







空洞が鳴る
鏡の道を
空洞がゆく


光と遊び
冬を呑む子
鱗へ 水へ
蒼をこぼし


葉を追いながら
双子のけだもの
銀を知らず
冬を知らず


空のはざま
花の相手
一度立ち止まる
闇の往路


ひっきりなしの
雨の歌垣
透明なままの
まれびとのため


手のひらのなかひとつのものが
離れてはすぐ分かれゆく
戻らぬものこそ積もる朝


切れないはさみで切られたものが
昼から午後へ午後へと散らばり
静かに熱を発している


流れるだけの隙間ではなく
常に常に行き来している
中庭の水 うねりのなかの
横顔の色


空に着いては離れる道
葉に落ちる葉の影 枝の影
碑文のように動かない


泡の雨が壁をすぎ
明るくも暗くもなく灯は点きはじめ
午後の内なのか外なのか
知ることもなく窓は眠る

























自由詩 灯へ まどろみへ Copyright 木立 悟 2012-06-12 19:56:09
notebook Home 戻る