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陰鬱な曇り空から
思い出したように降る雨
その降り方に苛立つ
10月のパリには、苛立つ憂鬱

どぼぼぼ…
不景気な音を立てて
バトビュスが橋をくぐる
やかましい東洋人の観光客を満載して ....
梅雨の晴れ間に、ひときわ
紫陽花は朝陽に輝いていた、その朝

報せの電話が真夜中に鳴った
冷静と言えば、聞こえはよいが
私の応対は驚くほど事務的であった
どこかに、安堵が潜んでいた

 ....
煮た竹輪と梅干
飯には煮汁が染み込んで
みっともない模様を描いていた

蓋で隠しながら
弁当を食った
級友に見られるのが
たまらなく恥ずかしかった

日曜日も休むことなく
ミシンを ....
「ととん、ととん」
曇った夜空から
列車の走る音が聞こえる
大気の具合でこんな日がある

目の前に来た列車に
いい加減に乗り
いい加減に乗り継いで
私の旅は現在にある

飛び乗った ....
降りしきる雨が
風を呼んだ土曜日
葉桜は揺れ
泥の上に、さくら模様

母は出かける支度
黄色い傘の用意をする
「どこ、行くんや?」と、尋ねたら
「さぁちゃんの小学校や」

咲子は中 ....
コーヒー豆を煎っている
剥けてくる薄い皮を丁寧に
吹き飛ばしながら煎っている

誰かのためでもなく、自分のためでもない
ただ美味いコーヒーになるように
細心の注意を払っている

窓から ....
一度だけ
父と取っ組み合いになった
後にも先にも
希薄な親子にとっての真剣な対峙は
それっきりだった

生意気盛りの高校生
飛行機が好きだった私は
トリポリでB747が爆破されるのを見 ....
小学校の教師は
満州の寒さを語った
近所のおっさんは
突撃の仕方を語った
母親は
配給の乏しさを語った
父親は
出征の誉れを語った

街では
白い軍帽を被った脚のない人が
人通り ....
苔むした三色ねじり棒が
時折脈動しながら回っている

脳天の禿げた主人は
「皮脂がいかんのですわ、皮脂が」
と、言いながら
頭髪の洗い方を指南するが
なぜ実践しなかったのだろう
と、不 ....
そらの珊瑚さんの山部 佳さんおすすめリスト(9)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
パリの指輪- 山部 佳自由詩114-6-24
紫陽花- 山部 佳自由詩1014-5-22
弁当- 山部 佳自由詩1014-5-12
列車の音- 山部 佳自由詩1114-5-6
お迎え- 山部 佳自由詩614-5-5
泣いた赤鬼- 山部 佳自由詩914-4-24
亡父- 山部 佳自由詩1014-4-19
伝言- 山部 佳自由詩814-4-15
理容店- 山部 佳自由詩314-3-23

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