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  長い歩道が
  河馬のようにみえる午後
  男はあおいホースで車を洗っている
  ふたりの老親と数十万程度の借金と
  慣れ親しんだ不眠とが彼の歪な肩に載っているが
  飛沫のな ....
  春うらら
  くじら雲ながれて
  どこでまた会えるの?
  そらの青ゆれるころ
  その笑顔、忘れそう



  水さらら、
  宵の月ながして
  どこでまた会える ....
  縁側に置かれた
  座布団にひなたと
  猫のにおいが残っている



  どこかで水が流れているのに
  影も形も消えてしまったみたいだ
  風に運ばれ
  気まぐれな ....
  数匹の
  空を走る鼠たち
  太陽を追いかけて



  アンテナ
  風と風が起こすかすかな摩擦熱
  あなたの悲哀はゲーセンのメダルと同じ形
  あなたの歓喜は書物 ....
{引用=――はるな「物語たち」に寄せて}


  つめたい夜がやってきて
  わたしの両手の爪を、一枚いちまい
  丁寧にはいでいった



  つめたい夜がやってきて
  物語の ....
  毒は出ていった
  二階の部屋の窓から
  小さくてかたい何かが
  机にしまわれる音をのこして



  ゆうべの雨がつくった
  川になりきれぬ、ささやかな
  水の ....
  吉祥寺駅の
  ロータリーでしゃがんで
  靴ひもをむすぶ
  あちこちに捨てられた
  煙草はどれもしめっていて
  茶色い葉がとびだしてしまっている



  きみと ....
  めぇいっぱいのかなしみを
  ちいさなかばんにつめてたら
  ほころびからおちていった
  あたりまえだ
  ふゆのあおぞら
  ふゆのあおぞら
  かぜがふいた
  ほころ ....
  きょうの朝は、
  灰色の水にひたされている



  人びとは鈍い眼をしてさがしている
  ありもしない排水溝や
  冬の葉のかけら、
  あるいは大切なひとの
  い ....
  煙草屋のわきに
  ポストがたっている
  阿呆みたいに



  屋根をつたって
  落ちてくる雨だれをうけ
  それは錆びてしまっていて
  もう誰も近づいたりしない ....
  どうしてこんなに
  あなたを好きかわからない
  あたまのなかに星がうかんで
  どんな夜よりはっきりかがやく


  どうしてこんなに
  たんじゅんなことを伝えられない
 ....
  {ルビ転寝=うたたね}をしながら
  ピーナツの殻を割る
  眠りと目覚めの隙間には
  すこしずつ雪がつもってゆく
  ひどく無口で、
  愛らしい雪が切れ間なく
  ピーナ ....
  きみはぼくに
  ただ一言の問いかけをした



  夏、
  夕暮れのきつい光が
  少しだけ漏れる部屋で
  きみはぼくに問いかけをした
  どんな手がかりも
   ....
  遅い昼食を済ませて  
  苺の実を一つ齧る



  幾つもの
  目には見えない高い壁が
  頭のなかに聳え立ち
  増えたり減ったりしている
  煙草を一本吸う
 ....
  ながい歌のあとに
  みじかい言葉があった
  冬の夜の
  ひろい海のまえで
  そこらに捨ててきた
  古い自転車のことも忘れて
  ぼくたちは手をつなぎあった
  なが ....
  愛することができたものと
  愛せなかったものを
  苔色の水面に
  あなたが浮かべる



  夕暮れはしだいに  
  薄くひろくのびてゆく
  冬空を流れている、 ....
{引用=  テクノの骨、



  銀色 の夢、抱えて。
  左 に憧れ
  右 に足の痺れ
  固めた砂 のような
  闇の中で ね
  キミはいったい
  どこの馬の  ....
  接続詞を
  石の上に載せ
  はげしさを宿した鉄でもって
  あなたが叩いている
  灰色の部屋に閉じ篭って
  その外を通りがかると
  カンカンと逞しい音がきこえる
  ....
  カモシカの眼が二つ
  側溝で雨にうたれていた
  遠い昔の話のような
  青空の粒子が今、
  その奥で消えようとしている
  ビニールコートのフードをおろして
  ほろ苦く ....
  小学校は
  投票所になっていた
  冬のひととき
  ぶらさがるカーテンの波を
  光の風が揺らす教室



  長靴にしのびこんだ
  濡れ雪を気にしながら
  ま ....
{引用= (fall)

  秋
  娘の胸に
  はじめての乳が溜まり
  銀杏の香り実る頃に
  心は夢と出会う  



 (shape)

  「長い廊下の向う ....
  画板のうえに
  赤と
  青を置く



  青のための赤と
  赤のための青



  意味
  固い殻を剥かれた
  何者かの咳
  冬になるときみは
  樹下の落葉をひろい集めて
  ぼくの胸のうえに載せ
  火をともしたものだ
  それ以外に
  やり方のないような手つきで



  あのなつかしい ....
  今宵、風の
  滑るような冷気の端に
  一本の象牙が生えていて



  きみは両手で
  そっと包みこむ
  通り雨の過ぎたあと
  かなしさの残る街の片隅
  電 ....
  積み木の赤い部品が
  緑のうえにそっと載る



  駆け抜ける電車の影が
  血の気のない床を砕いて
  それから
  途絶えて消える
  轍のひとつも残さず
   ....
  おまえはだれだと
  蟻が訊く
  秋枯れの
  木の根をしいんと横切り
  くたびれた靴の色より
  鮮やかなぼくの影
  ジャック・ダニエルを呑んで  
  やってられないとつぶやく
  おぞましい闇を
  月明りが潰す
  猫のようなきみの手も時に  
  すばしこいジャブを繰り出す
  痣模様 ....
{引用= (stones)

  喜びは
  あなたの膝に
  置かれた石
   


 (eyes)

  漆黒の髪と
  睦み合う指の
  眩暈をもよおす
  数 ....
  1

  夜に錠をかける
  炭酸水に精液を混ぜる
  クレジットカードに鋏をいれる



  2

  美術室
  置きざりのままの
  パレットに絞った絵具のこ ....
  カップボードのガラスに
  葡萄の果実が映しだされる
  一粒ひとつぶ、
  丁寧に描いたみたいに



  時計の針の刻む音が
  穏やかに年老いてゆく間
  ホテルか ....
泡沫恋歌さんの草野春心さんおすすめリスト(121)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
敗北- 草野春心自由詩415-1-9
ゆめのわ- 草野春心自由詩413-3-31
座布団- 草野春心自由詩1113-3-28
アンテナ- 草野春心自由詩413-3-21
物語へ- 草野春心自由詩5*13-3-12
- 草野春心自由詩513-3-9
ロータリー- 草野春心自由詩8*13-3-3
ふゆのあおぞら- 草野春心自由詩313-2-21
灰色の水- 草野春心自由詩413-2-20
ポスト- 草野春心自由詩7*13-2-13
ラブレター- 草野春心自由詩613-2-9
ピーナツ- 草野春心自由詩613-2-9
問いかけ- 草野春心自由詩813-2-3
苺の実- 草野春心自由詩813-1-20
ながい歌- 草野春心自由詩1213-1-18
浮力- 草野春心自由詩713-1-16
テクノの骨- 草野春心自由詩413-1-16
- 草野春心自由詩913-1-8
カモシカ- 草野春心自由詩8*13-1-1
投票所- 草野春心自由詩612-12-23
色彩へのコラージュ- 草野春心自由詩512-12-16
画板のうえに- 草野春心自由詩612-12-15
- 草野春心自由詩812-12-9
象牙- 草野春心自由詩412-12-9
積み木- 草野春心自由詩712-12-2
- 草野春心自由詩712-12-2
ジャンプ- 草野春心自由詩7*12-11-30
無へのコラージュ- 草野春心自由詩512-11-30
The_Taste_Of_The_Glass- 草野春心自由詩5*12-11-24
カップボード- 草野春心自由詩5*12-11-24

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