カモシカ
草野春心



  カモシカの眼が二つ
  側溝で雨にうたれていた
  遠い昔の話のような
  青空の粒子が今、
  その奥で消えようとしている
  ビニールコートのフードをおろして
  ほろ苦く君が笑った
  長い髪の毛を少しずつ
  冷たい滴にひたしながら




自由詩 カモシカ Copyright 草野春心 2013-01-01 16:18:50
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